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【2025/06/17 09:16 】 |
かえりみち

「今帰りか? 駅まで一緒に帰るか」

校門を出たところで声を掛けられて、深津はそのとおり
硬直してしまい何の返事も出来なかった。
ただ、歩くように促されて、なぜか駅までの道を二人並んで
歩いてしまっていた。
隣に並ぶと、3年生の航太郎はとても大きく感じられる。
突然のことにびっくりして顔も上げられない。
いきなり憧れている先輩に声をかけられたのだ。
人と接することが苦手な深津が、うまく話せるはずもない。
「今日、田神は一緒じゃないのか?」
「え・・・っあ、はい!」
唯一なんでも話せる友達の名前が出て、また驚いた。
辰彦は社交的で、こんな深津をいつもフォローしてくれる。
でも肝心な今いないなんて、と深津は頭の中で筋違いにも
恨んだ。
こんな状況、ひとりじゃどうしようもないのに――
「長谷川は、」
「・・・・・・」
航太郎が話しかけてくれないと、会話は成り立たない。
そんな雰囲気なのに、深津は名前を呼ばれて俯いていたのも
忘れて隣に並ぶ先輩に驚いた。
驚いた深津に、航太郎も驚く。
「なんだ? どうした?」
「な・・・名前を」
「名前?」
航太郎が、自分の名前を知っていることに驚いたのだ。
それが分かったのか、航太郎は目を細めた。
「後輩の名前くらい覚えてるぞ」
「え・・・全員ですか?」
「全員、一応。これでも俺、生徒会役員だからな」
なんでもないように笑うけれど、一学年400人を超えているのだ。
深津は入学して一月経っても、クラスメイトすらろくに覚えられない。
「ただ暗記してるだけだから、誰にだって出来る」
そんなはずはない。
深津はただ驚いたまま、首を横に振った。
勢いよく振りすぎて、髪の毛がくしゃくしゃになってしまったが、
それを直す余裕もない。
隣の航太郎の手が伸びてきたのに気づいたのは、その髪に
触れられてからだった。
「・・・・っ」
「長谷川の髪、柔らかいなぁ」
淡々とした感想なのに、深津はまた身体が固まってしまう。
顔を上げられない前で、航太郎が息を吐いた。
また、だ。
深津はこうして何度も、目の前に対峙した相手にため息を吐かれる。
不必要に委縮してしまっている自分が悪いのだと知っているし、
辰彦にも注意されるが、思ったところですぐに治るのならこんなに
苦労しない。
航太郎にも、呆れられてしまった。
それでもどうしようも出来ない自分が情けなくて、目が熱くなる。
でもこんなところで泣けない。
そう思った時、髪に触れていた手がやさしく頭をたたいた。
呼び起された気がしてそろりと顔を上げると、そこにあったのは
いつもされる呆れた顔ではなく――とても柔らかな、微笑みだった。
「帰るか」
促されて、立ち止っていたことに気づく。
言われるままに足を動かしたけれど、深津は混乱したままだった。
呆れていない。
怒ってもいない。
ただ、航太郎は柔らかな笑みを浮かべたままだった。
俯くことも忘れて、深津はただその横顔を見つめた。
時折航太郎が気付いて、なんだ、というように笑われて、慌てて
顔をまた下げるが、それでもまた見つめてしまう。
深津は泣きそうになっている自分に気づくまで、ずっとそれを
繰り返していた。



******

深津バージョンですよ。
高校生の深津ですよ。
くらーい子供だった深津ですよ(笑

はー何か楽しいことはないかしら。
心トキメクことはないかしら。
胸がキュンとするものを取り入れないと!!
と少女漫画を読みあさってた昨日の夜。
心がブルーになったのは、土曜の昼のことです。
昼間に出かけた帰りに、旭陽くんをからかって遊ぶか、と
電話したらば・・・今まで何時間電話してようと見つかった
ことはないのに、なぜか見つかってしまい捕まって
しまいました・・・・警察に。
ちくしょう!
旭陽くんに電話したばっかりに!!
と旭陽くんに怒りをぶつけてもしかたないですがぶつけました(笑
減点で罰金・・・はー。
買い物をした後だけに辛い出費です。
これからは気をつけよう・・・とか思いながらそのあとすぐにまた
懲りずに電話してたわけですが。
それを晴らそうと勉強もせず本を読み・・・いや、仕事を一日してた
からいいかなーと。
自分に甘いなぁ、私は・・・でもちょっとしてみた動物占いにも
書いてあった。
私は努力型だと。
結果が悪いのは努力していない自分が悪いとちゃんと分かっていると。
そうなんだよね。
自覚もあるんですよね。
がんばります。勉強。
明日から。
しかしここで白黒車の中で笑ったことをひとつ。

履歴を見せてください、と言った警察官に、素直に見せました。
私のアドレスに、旭陽くんは「旭陽さん」と入ってるんですが。
警察官は少し考えて、
「・・・これは人間ですか?」
と。
ヒトだよ!!
かわいいだけで愛されるだけしか価値のない愛玩動物にも
見えるけど一応人類だよ!
私誰としゃべってたんだ(笑

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【2011/05/16 10:16 】 | ウツムキスマイル | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
おれい


「落ちたよ、これ」
「・・・・すみません」


全生徒が行き交う渡り廊下で、その場面を見て思わず
足を止めた。
教科書なんかを抱えていた一年生から落ちたペンを、
二年生が拾ってあげたところだった。
受け取った一年生は、相手の顔をまっすぐ見ることはなく
慌てた様子と戸惑った様子が混ざって、さらに申し訳なさそうで
結果無愛想な顔になって謝罪しただけだった。
拾ってあげた二年生としては、それが嬉しいと思うことなどない
のも当たり前で、それでも肩を竦めてもう関係ないとばかりに
そこを去った。
一年生はその後ろ姿を見てもう一度頭を下げて、背中を丸める
ようにしてその場を動いた。
「残念だよなぁ」
ぽつりと言ったのは、航太郎の隣でそれを見ていたクラスメイトだ。
「なにが」
「あれ。あの長谷川。今年の新入生の中じゃピカイチくらいの
綺麗な顔でさ、みんな色めき立ったけど、でもあの性格じゃ・・・」
明るくない。
社交的でもない。
無愛想だ。
それが入学して1ヶ月もたたない間に広まった長谷川深津という
生徒の評判だった。
「にっこり笑ってやりゃ、誰でも嬉しくなるしなんでもしてやるのにさ」
なんであんなに暗いんだろ。
人気者になれるはずなのに、反対の意味で知れ渡ってしまっていた。
「いつも一緒にいる男、誰だっけ? あいつとしか笑わないじゃん。
出来てんじゃねぇのって噂だけど」
「それはない」
航太郎の否定は、相手が興味を引くほど強かった。
「なんで知ってんの?」
「・・・なんでもいいだろ」
航太郎は誤魔化すためにその場を速足で逃げた。

不器用なだけなんだ。

航太郎は俯いた顔が、どんな表情をしているかすぐに分かった。
無愛想なんじゃない。
戸惑っているだけなんだ。
笑いたいのに、笑うことができない。
それがあの子だ。
深津が全開で笑うところを見たら、いったいどれだけの人が
驚き、そして落ちてしまうだろう。

航太郎は指先を擦り合わせている自分に気付いた。
それは一度だけ、深津の髪に触れたことがある場所だった。
あの柔らかさを、きっと一生忘れることなど出来ないだろう。
航太郎はそっと、深津の消えたほうを振り返った。



*****

いきなり始めてみました!
「ウツムキスマイル」
つまり――ニヤケ顔っつーことですよ。
ニヤケ顔になってたまらん。
て小話を書こうと思ったのに、なぜかいきなり高校生編。
の航太郎×深津シリーズです。
この時代は私の高校時と同じ時代の設定です。
携帯はありません。かろうじて、ポケベルかな。
ポ~ケ~ベ~ルが鳴らなくて~て歌はもう今の子は
知らないんだろうなぁ・・・
まぁ今、私もポケベルを打てと言われたら無理ですけど。
あの頃、数秒でどんだけ打ってるの、と今思えば、
女子高生は神業を使ってましたね。
(私にも女子高生時代はあったんですよ)

 

【2011/05/13 08:09 】 | ウツムキスマイル | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
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