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【2024/05/19 02:15 】 |
夢を喰う獣 終
電話越しで洋平から、目の前で貴弘から、夏流は自分の記憶が
飛んでいたことを教えられた。
それを心配して、いろいろとあったことも教えられたが、
夏流の態度も表情も変わらない。
まったく信じていないのだ。
事実なんだけど、と洋平は向こうで呆れ、治ったのならと
さっさと電話を切った。
残された貴弘は、本当は夢だったのかな、と思わされるくらい
夏流の態度はいつもと変わらない。
それでも、夏流に知らない、と言われたときの絶望のような不安は覚えている。
それをどうやって伝えればいいのか、貴弘が戸惑っていると、夏流がベッドから
起き上がりすでに自分に何があったかなど興味なさそうに聞いてきた。
「お前、何か欲しいものがないのか」
「は?」                    
「なんでもいい」
「なんでもって・・・」
突然の請求に、自分の気持ちに動揺していた貴弘はすぐに
答えられるはずもない。
そもそも欲しいものがあったとして、それを夏流が買ってくれるとでもいうのか、と
それはどうして、と突然の質問に貴弘は頭が真っ白になる。
それでも夏流の目は真剣で、答えを待っているのに、貴弘はただ答えだけを
求めるようにグルグルと考えて、ぽつりと言った。
「う、うーん、と、子供・・・かなぁ?」
必死で考えて出した答えに、夏流は珍しく目を瞬かせた。
「お前、難しいことを言うな」
「なにが?」
首を傾げた貴弘を、夏流は流れるように動いてもう一度ベッドへ倒した。
「まさかそう言われるとは予想外だったが、お前が欲しいというなら
頑張ってみないこともない」
やってやれないこともないかもしれない。
と真剣に言う夏流に、貴弘はようやく状況を理解した。
「う、えっな、なんで?! 違う違うそうじゃないっ! 兄ちゃんだよ兄ちゃんたちに!」
慌てて手を突っ撥ねて押し返す。
なんだ、と詰まらなさそうに呟く夏流に、いったいどうしてそうなる、
と貴弘のほうが慌てる。
「兄ちゃんと千晴姉が、結婚してもう3年とかだけど、今ようやく新婚旅行とか
行けたくらいだし、でも子供とかいたら、嬉しいだろうなぁって」
新婚家庭に、自分は邪魔だろうけど、と貴弘は呟くが、夏流は頷いただけだ。
「解かった」
「なにが?」
了解されても、貴弘には意味が解からない。
そんなものを要求したところで、じゃあ出来ました、とレトルト食品のようなもの
じゃないのは貴弘だって解かっている。
それをあっさりと頷かれて、疑問でいっぱいになっているところに夏流が
もう一度覆いかぶさってくる。
「ちょ、なにっ」
「出来ないかどうか、試してみてもいいだろう」
「は――あ?! た、試すなってか出来ないっ知ってる! 
解かってるから、無理――ん!」
抵抗などまったくないように、夏流に唇を塞がれた。
そうなったら、やはり貴弘に止めることなど出来ないのだ。
 
連休も終わり、結局合宿も放りだしてしまった貴弘は、友人たちに
何度も謝り、そのまま家に帰った。
すでに日は落ちていて、旅行先から帰った兄夫婦が合宿で
疲れただろうと貴弘を迎えてくれる。
複雑なものを感じながら、じつは、とあったことを話しても
どうしようもないと口を閉じる。
2人は複雑な貴弘には気付かずニコニコとしていて、そして嬉しそうに話した。
「じつはな、貴弘。旅行先で解かったんだが・・・」
少し照れくさそうに言う兄の和弘に、嬉しそうな姉の千晴が続けた。
「貴くん、叔父さんになっちゃうけど、いい?」
「・・・・え?!」
愛おしそうにお腹を撫でる千晴に、嬉しそうな和弘に、
貴弘はその事実を正確に理解した。
「子供が、出来たんだ」
良かった、嬉しい、と喜び驚きながらも、貴弘の脳裏に浮かんだのは、
ここ数日振り回してくれた男のことだ。
まさか夏流が何かをしたとは思えないし、したところでこんなことには
ならないのだが、それでも不安と疑問が付きまとう。
 
あれって――どういう意味?!
 
それでもやってしまいかねない、と思ってしまうのが夏流という男なのだが、
ただ混乱に渦巻いた連休はこうして終わりを告げた。



おわり

*****

終わったぜ!
終わったよ!
はーちゃちゃーっと書いて終わるはずだったのに、思ったより
時間がかかってびっくり。
やっぱり夏流だよね、と笑ってもらえればなによりです。
今年はこれからもこの二人――というか、このメンバーで頑張って
いきたいと思います。

こうして私は仕事を終えて、ご飯を食べ、お風呂に入り、
パソコンに向かっているわけですが。
日々仕事が忙しくて忙しくて世界の余った時間をあんたにあげたいよ
と私が思う相方に、私は自社の広告作成をお願いした。
私がちゃらりと描いた絵をスキャンしてまめに送信!
それをまめがきっとかわいくしてくれてる只今です。
それを大人しく待ってます。
いいこで待ってます。
だからよろしく。まめ。
本当に私、デジタルというものに不器用でねぇ・・・


しかしふと気づけば。
明日は金曜ですよ!!
いったいいつのまに?!
なんかまだ、今週始まったばっかのような気がするんですけど。
私の一週間はどこに?
仕事してたはずだし、今週岡山市まで行ってたりもしたんですが。
いったいどこに・・・
このままではもういっきに来週ですねぇ。
遊ぶ前に全力で仕事します!

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【2012/03/08 20:14 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
夢を喰う獣 11
貴弘がふと気付くと、どこかで携帯のバイブレータが震える音が聞こえた。
どこかで鳴っている、と解っても、身体がひどく重くて動かない。
柔らかなベッドは、とても心地よくてこのままもう一度眠ってしまいたい。
それでもゆっくり瞬きを繰り返すと、夏流の寝室でカーテンの隙間から
柔らかな光が入っているのに気付く。
照明は付いていないが、それで部屋の中が見える。
いったいいつ、寝室に移動したのか覚えていない。
ただ何度も攻めたてられて、最後には理性も意識もなかったと思う。
首をゆっくり巡らせると、すぐ隣で綺麗な顔が瞼を伏せていた。
どれだけ見ても、夏流の顔は整い過ぎて驚く。
慣れないと解るのは、眠気がなくなるほど覚醒したせいだ。
記憶がないからなのか、昨日の夏流はいつもと違った。
確かめるようでもあるし、責めて苛められているようでもあった。
なんだ、どうしたら、と貴弘は知らず顔が熱くなった。
こんなことになって、改めて夏流とどうすれば、とうろたえたのだ。
貴弘を知らないという夏流と寝てしまって、じゃあこれからどうするのか、
貴弘には解らない。
ただ、やはり夏流の傍から動けなくなると不安と喜びで動揺する。
ひどく倦怠感の付きまとう身体ではあるが、貴弘はゆっくりと身体を起こす。
シーツから出た身体は何を着ているでもない。
肌の上にはいくつも夏流が付けた痕が見える。
以前のもあるし、それを見つけた夏流が昨日何度も同じ場所を辿ったせいでもある。
「うあ・・・これ、マジで、どうしたら」
改めることでもないが、貴弘は恥ずかしさがこみあげて赤い顔を腕に埋めた。
その腕を突然取られて、引き寄せられるようにもう一度ベッドに倒された。
「なん・・・?!」
驚くと、夏流の腕の中にいる。
「・・・まだ眠い」
言われなくても、夏流の寝汚さはよく知っている。
きっと今でも過去でも、同じだったはずだ。
貴弘は強制的に一緒に眠らされる手からもがき出ようとする。
「寝るなよ、つか今何時? 朝? 洋平さんに連絡しなきゃ、心配してるかも・・・」
昨日、そのまま引き上げて行ったが、日を改めて来ないはずもないだろう。
洋平は洋平で、夏流を心配しているはずだ。
夏流は腕から逃げる貴弘を、初めて目を開けて確かめて、
「・・・洋平が、どうした?」
それに貴弘のほうが驚いた。
「ど、どうしたって、だって、昨日」
「昨日? 来たのか? どこに」
どこもなにも、この部屋の夏流に会いに来たのだ。
夏流の表情は寝起きで機嫌も悪そうだがそれはいつものことで、
それに加えて本当に不思議そうに聞いているのも解かる。
貴弘は自分も理解できないのにどうすれば、と混乱を深めていると、
部屋のどこかから再び携帯の震えている音が聞こえた。
ベッドの下に落としてあった服の下から、夏流の携帯が震えていた。
寝起きだというのに夏流はさっさと動いてそれを取り、
相手を見て通話ボタンを押した。
「どうした、洋平」
またあっさりとした声に、貴弘は、おそらく電話の向こうでも洋平も、
それはこっちが聞きたい、と思ったはずだった。



つづく

*****

気づけばあっという間に日にちが過ぎて・・・
おかしいな?
次で最後です。
朝ちゅんになってんのは、HPに更新する予定の本編で
がっつりやってるからです。
そちらを気長にお楽しみにー。

本日の晩御飯は焼うどんでした。
私は家の焼うどんが大好きだ。
しょうゆ味で。
家に帰るとまずお風呂に入るのだけど、焼うどんだったので
先のご飯を食べることにした。
ホットプレートにたくさん作ってあるのを小皿に取り分け、
いただきます、とひとくち。

「・・・・・・!!!」

もぐもぐごくん。
なんか飲み込んだけどこれなんだ?
と確かめるためもうひとくち。

「・・・・・!!!!」

なんじゃこりゃ。
「・・・・・これなに入れたの」
「ぎょふん」
ぎょ・・・?
「魚粉」

私は魚の魚臭いところが嫌いだ。
生はまず食べないし、焼き魚も最近嫌だ。
煮たやつで匂いも味も変わったのなら少しなら
なんとかって私に。
魚の魚臭いところを粉にしたものを食わせたのか?

焼うどんは3皿分くらいはいつも食べるのに。
今日はとりあえず取り分けたのは責任がある、と
一皿をがんばった。
でももう無理だった。

大好きな焼うどんが大嫌いなものによって
食べられないものになってしまったこの残念さ。
わかるじゃろうか・・・
自分がおいしいと思うものは他人もおいしいはずと
思いこんでいるうちのパピー。
どうにかしてほしい。

【2012/03/07 21:02 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
夢を喰う獣 10
「や、ちょ・・・っま、ん!」
首筋に顔を埋められると、条件反射で竦んでしまう。
シャツの裾から掌が這い上がり、薄い胸を探られ声を殺すために唇を噛んだ。
「なつ、な・・・っつ、る、待って、なん、でっ」
「なんでだろうな」
答えを期待した問いではないが、あっさりと返ってきた声に驚いた。
眉根を寄せて夏流の手に堪えるようにしていた顔が、一瞬緩む。
おかげで真正面から夏流の顔を見る。
「どうしようもなく、やりたい。何か解らないが、俺は今不愉快だ」
「・・・はあ?」
夏流が自分の感情をはっきりと口にするのを初めて聞いた。
それもあるが、不愉快というのは機嫌が悪いということで、
でもやりたいって言うのはそのままの意味で。
その二つが直結して今の行動になっている理由が解らない。
「なんで、フユカイなのにするんだっだってあんた、俺のこと知らないって・・・!」
不愉快なのに、知らない相手を抱こうとする夏流が解らない。
「お前は知ってるんだろう」
夏流の目が薄く笑った。
貴弘はその顔を知っている。
貴弘を見て、押し倒して、これからどうしてやろうと考えている夏流だ。
記憶が戻ってもないのに、この顔が同じなことに嬉しいような怖いような複雑な気持ちになる。
「し、知らない、知らないから」
夏流がどうやって、いつも何を考えて貴弘を抱いているかなど、貴弘自身知るわけもない。
慌てて首を振って否定しても、夏流の手は止まらない。
「男とはしたことがないが、お前は抱ける気がする」
「し・・・え? したこと、って、だって」
シャツを捲くられ、胸まで晒されても、抵抗する手が止まる。
自分の身体をじっくり見ている夏流が、貴弘の知らない目で貴弘を見ている。
本人よりも知っているだろう貴弘の身体を、確かめようとする視線に動きが止まった。
「なんだ。おかしいのか?」
「・・・だって、洋平さんは」
夏流が誰を好きだったのか、貴弘も知っている。
だからあんなに紀一が嫌いなのだ。
幼馴染だとは聞いたけど、2人の関係はそんな言葉より親密に見える。
「何故洋平と?」
夏流の言葉は素直に不思議そうに聞こえた。
それから目が少し眇められた。
「洋平が今何をしているとか、どうしてそうなったとかは聞いたが、
正直納得もしていないが、俺と洋平は寝てない。そんな関係じゃない」
貴弘は驚いて、どこか感情だけが先走ったようになって目が熱くなった。
洋平のことが大事で、誰より知っていて、その間に貴弘が入れることなど
ないのはよく知っている。
夏流の洋平への執着と、紀一への嫌悪は、好きな相手と恋敵のような
関係なのだと思っていた。
「なんだその顔は・・・洋平を抱けと言われれば抱けるだろうが、抱いたところで
何が変わるわけでもないし、俺のそばにいろと繋ぎとめられるやつでもないのは解っている」
「・・・そう、なんだ」
じゃあどんな感情でどんな関係なんだ、と説明されても、貴弘には
理解できそうにないから聞かないが、複雑なまま何かを納得してどこかがほっとした。
それが顔に出ていたのか、夏流が顔を寄せて笑う。
「嬉しいのか」
「・・・えっ」
「洋平に妬いてたのか」
「え、ち、違う、けど・・・っ」
「そんな顔をしているのに?」
どんな顔だ、と否定したいが、貴弘自身自分の顔がどんなふうになっているのか解らない。
ただ、顔が熱い。
不愉快だと言った夏流が、感情を翻して笑っていることが、貴弘の顔を赤くする。
「なつ、夏流、待って、あの」
行動を再開させて、覆いかぶさってくる夏流に、最初を思い出したように貴弘は手を掛ける。
その手を取られて、目の前で指にキスをされた。
もう駄目だった。
この夏流に、貴弘が勝てたことなどないのだ。
「教えろよ。俺はお前を、どうやって抱いた?」



つづく

*****

はー終わりに近づいてます!
いっきに詰め込んだ感がありますが。
まぁここに落ち着くわけですよ。
じゃなきゃ終わりません。

本日もお仕事。
明日もお仕事。
来週もおそらく。
あーボードにいきたーーーい。
そういえば、森薫著の「エマ」にはまって、思わずアニメも
みてしまいました。
最初のころは、まぁ良かったんですよ。
でも第二幕!!
どうして! なんで!
そんな話になるの・・・と原作と違うところに残念な感じが
残りました。
あああ。漫画だけでよかったかも。
ハンスはそんな気持ちを出す男じゃないでしょー?

【2012/03/03 12:56 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
夢を喰う獣 9
「俺がここ数年の記憶を失くしているというのは、事実らしい。洋平にも聞いた。
洋平が傍にいないのも、俺がお前と――付き合っている、というのも」
ただ、それを納得するかどうかは、別のようだった。
「信じられないなら、信じなきゃいいだろ」
知らない相手と付き合っていると言われたときの違和感を、貴弘は知っていた。
しかし、知らないと言われたときの気持ちがどんなに辛いのかを、今理解した。
なのに口から出たのは、負け惜しみのようなものだ。
夏流はそう言われても離れることはなく、ただじっと貴弘を見つめている。
見つめられることに居心地が悪くなって、身動ぎを始めたとき、夏流がまた口を開いた。
「俺は、お前のどこを好きになったって言った?」
「・・・は?」
「俺はお前の何が良くて、付き合っていたんだ」
瞬く間、その質問を考えて、理解した瞬間顔が熱くなるくらいかっとなった。
「そんなの、俺が知りたい!」
もっと綺麗な人がいる。もっと可愛い人もいる。
勉強も出来て、夏流の嫌いなバスケはちゃんと嫌いで、夏流の隣に並んでも
違和感のない相手――そんな人はきっとたくさんいるだろう。
なのに、ここで貴弘を前にしている。
どうして夏流が自分を選んだのか、誰より知りたいのは貴弘自身だった。
「何を怒っている」
「怒ってない!」
怒鳴り返して、自分でも何を怒っているのか解らなくなってきた。
夏流が忘れたというのなら、事実なら仕方ないと思う。
自分より、ずっと一緒にいた洋平を頼りにするのも仕方ないと思う。
子供みたいな、見たことのない顔で笑うのも、仕方ないと思う。
なのに、今ここで、何の感情もないみたいな、ただ綺麗なだけの顔で
貴弘を見る夏流が、なんだかわからないけれど腹が立つのだ。
「あんたなんか、顔だけのくせに」
「なに?」
「意地悪だし、勉強できるからってバカにするし、バスケだって嫌いとかいうし、
紀一さんと会うなとか勝手なこと言うし、夏流なんか、ほんと、
顔がそんなに綺麗じゃなきゃ、ほんと――」
その顔を睨もうとして目を合わせて、続きが出なかった。
何を合わせたらそんなに綺麗になるのか、という顔で貴弘を見つめて、
それだけで、貴弘のすべてを奪う。
ゆっくりと圧し掛かるように押し倒され、唇を塞がれても、貴弘には何も出来なかった。
間近で見ることなど出来なくて、目を閉じた。
抵抗もなく舌を受入れて、絡まれるうちに、逃げていくのを追って自分から絡めた。
「ん・・・っは、や・・・」
深く深くなるたびに、キスに夢中になって止まらなくなる。
もっと、と強請って顎を上げた。
音を立てて夏流が唇を離したときには、もう貴弘の唇は充分に濡れて、呼吸も乱れていた。
「は、あ・・・」
離れたことで目を開けると、予想よりも近くに夏流が貴弘を見下ろしていて、今度は閉じれなくなる。
この顔に、本当に貴弘は弱いんだ、と改めて思った。
夏流はいやらしく貴弘の口腔を舐めた舌で、自分の唇をふき取ってから、口端を上げた。
「キスは、誰に習ったんだ?」
「――あんた以外に、誰がいるんだっ」
思い出したように、かっとなった。
言ってからしまったと思ったけど、夏流は一度瞬いただけで、さらに口角を上げる。
「・・・へぇ?」
頭の中身がどうだろうと、その顔は変わっていなかった。


つづく

*****

本当にね!
夏流ってどこがいいんだろうね!
ただ好きな子に夢中の可愛いヤツのはずなのに。
夏流ってだけでかわいくないわぁ。
拍手にコメントありがとうございます!
待っててくださった方がいらっしゃることにびっくり。
感謝!!
がんばります。

昨日に引き続きうちのマミィの話。
ちょっと前より、お腹の調子が崩れてまして。
なんか便秘っぽくて。
そもそも、私は便秘じゃない。
なんか出ないなーと思っても、下剤ひとつでいつもとおりになる。
なのになんかおかしい。
と思ってたら。
マミィが勝手に私のお茶(マイボトル)にファイバーなんとかって粉を!!
なんじゃそりゃ!
「便秘に効くんで。無味無臭じゃったろう?」
誇らしげに言うコイツに言いたい。
私は便秘じゃない。
なにこっそり入れてんの無味無臭だったらなに入れても平気とか言うか
んなら毒物入れても平気とか言うのかお前は。
万人に効く良い薬が、私に効くとは限らない。
この年になると、自分の身体は自分が良く知ってます。
なにがよくて何が悪いかも解かります。
今朝はヨーグルトを食べさせられたのじゃが。
別に嫌いじゃないから食べるけど。食べれるけど。
「噛まずに飲んでな、なんとかって菌が潰れちゃうんじゃって」
なんとかって菌をなぜ食べさせる。
「便秘にええんじゃってー外国の偉い先生が言いよったんで!」

だから私は便秘じゃないのよ。
その偉い先生は私の主治医か?

もう一度言おう。
万人に効くものが、私に聞くとは限らない。
ご飯は作ってもらってるので、基本的に文句はなく
出されたものを食べますが。
私の身体はマミィのように頑丈にできてないのよ。
怪しげなオイルとか、粉とか、飲み物とか。
勧めるのをやめてくれ。

【2012/03/02 12:35 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
夢を喰う獣 8
「お前は洋平がいればいいんだろう。洋平といちゃついてればいいじゃないか」
あくまでからかう様子を隠さない紀一に、夏流は腕の中の貴弘を見下ろし、
「この男とやりたかったのか。俺は邪魔をしたのか」
低い声で言われ、慌てて貴弘は首を振った。
紀一と何かをしたいと思ったことはないし、しかも夏流の前でとは有り得ない。
「これはお前としたくないと言っている」
貴弘の意見を代弁した夏流に、紀一はソファに寛いだまま笑う。
「だからって夏流は関係ないだろう? 洋平も貴弘もなんて、欲張り過ぎじゃないか?」
「・・・・・」
即答できなかった夏流に、紀一がますます口端を上げる。
しかし、呆れた声で洋平がその間に割り込んだ。
「いい加減にしろよ、二人とも。俺も貴弘もものじゃない」
それに、夏流がはっきりと声を上げる。
「洋平は俺のだ」
その声に、貴弘はびくりと身体を固まらせた。
夏流の腕の中にいるのだ。それに夏流が気付かないはずもない。
断言された洋平はどこか寂しそうな顔で夏流に笑い、
「俺は夏流のじゃないよ。それはお前もよく知ってるだろ」
知らない、と夏流が言い返す前に、洋平はソファの紀一に立ち上がるよう促した。
「ここにいても仕方ないから、帰るよ。紀一も」
紀一は逆らうつもりはないのか、肩を竦めただけで身体を動かした。
帰る、と言われて素直に頷けないのは夏流だ。
どうして傍にいない、と怒る前に、洋平に腕の中を指される。
「夏流に必要なのは、俺じゃなく――貴弘だろ。思い出すかどうかは置いといて、
二人で話をしてみろよ」
何をどう話せばいいというのか。
それは言うことはなく、本当に洋平は紀一を連れて帰って行ってしまった。
取り残された二人は、しばらく無言だった。
とくに貴弘は、夏流の腕に引き寄せられたままで、動けないでいる。
夏流は貴弘を知らない。覚えてないというのに、しっかりと抱えられて、
どうすればいいのか解らないのだ。
どうしよう、と身動ぎしようとしたとき、夏流が動いた。
それまで紀一が占領していたソファに、引きずられるようにして座らされたのだ。
膝を突き合わせるようにして隣に座り、夏流が真正面からじっと貴弘を見つめてくる。
貴弘の何もかもを見通すような視線は、瞬きも少なく、
惹き付けられるような美しさは前とまったく変わらない夏流のままだった。
けれど、これ以上に居心地の悪い場所もない。
視線と一緒に、顔を背けたとき、夏流がようやく口を開いた。
「・・・どうしてこれなんだ」
そんなこと、こっちが聞きたい。
貴弘はずっと続いていた困惑の中から、ようやく一歩進んだように怒りを見出し、
強く夏流を睨んだ。


つづく

*****

ようやく進みます。
ガンバレ夏流! マケルナ貴弘!
あ、左の拍手劇場も夏流たちに変りました。
よければ、ぽちっとどうぞ。

この前晩ごはんのときにかかってたCMが、
すごくつまらなくて。
というかこんな宣伝いいの?
結構時間取ってるけどこれによく宣伝費出したね?
というような中身だったので、
「ジャロに電話せな」
と言ったらマミィが噴き出すほど受けた。
相変わらず沸点の低い母です。

夏流たちが終わったら、次は不定期連載で
高校生ものを書きたいです。
夏流たちは本編でHPにアップする方を書いてるので、
いつか・・・書き終わったら更新するでしょう。
そして相方の都合にもよるわけですが。
ヨガに行ったり太極拳に行ったりぼけ封じに行ったり。
でも仕事は不規則で忙しかったりする相方ですが。
健康に気を使ってんのかどうなのか。
お互いもう無理は効かない身体です。
気をつけようぜ!
【2012/03/01 12:27 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
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