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「や、ちょ・・・っま、ん!」
首筋に顔を埋められると、条件反射で竦んでしまう。 シャツの裾から掌が這い上がり、薄い胸を探られ声を殺すために唇を噛んだ。 「なつ、な・・・っつ、る、待って、なん、でっ」 「なんでだろうな」 答えを期待した問いではないが、あっさりと返ってきた声に驚いた。 眉根を寄せて夏流の手に堪えるようにしていた顔が、一瞬緩む。 おかげで真正面から夏流の顔を見る。 「どうしようもなく、やりたい。何か解らないが、俺は今不愉快だ」 「・・・はあ?」 夏流が自分の感情をはっきりと口にするのを初めて聞いた。 それもあるが、不愉快というのは機嫌が悪いということで、 でもやりたいって言うのはそのままの意味で。 その二つが直結して今の行動になっている理由が解らない。 「なんで、フユカイなのにするんだっだってあんた、俺のこと知らないって・・・!」 不愉快なのに、知らない相手を抱こうとする夏流が解らない。 「お前は知ってるんだろう」 夏流の目が薄く笑った。 貴弘はその顔を知っている。 貴弘を見て、押し倒して、これからどうしてやろうと考えている夏流だ。 記憶が戻ってもないのに、この顔が同じなことに嬉しいような怖いような複雑な気持ちになる。 「し、知らない、知らないから」 夏流がどうやって、いつも何を考えて貴弘を抱いているかなど、貴弘自身知るわけもない。 慌てて首を振って否定しても、夏流の手は止まらない。 「男とはしたことがないが、お前は抱ける気がする」 「し・・・え? したこと、って、だって」 シャツを捲くられ、胸まで晒されても、抵抗する手が止まる。 自分の身体をじっくり見ている夏流が、貴弘の知らない目で貴弘を見ている。 本人よりも知っているだろう貴弘の身体を、確かめようとする視線に動きが止まった。 「なんだ。おかしいのか?」 「・・・だって、洋平さんは」 夏流が誰を好きだったのか、貴弘も知っている。 だからあんなに紀一が嫌いなのだ。 幼馴染だとは聞いたけど、2人の関係はそんな言葉より親密に見える。 「何故洋平と?」 夏流の言葉は素直に不思議そうに聞こえた。 それから目が少し眇められた。 「洋平が今何をしているとか、どうしてそうなったとかは聞いたが、 正直納得もしていないが、俺と洋平は寝てない。そんな関係じゃない」 貴弘は驚いて、どこか感情だけが先走ったようになって目が熱くなった。 洋平のことが大事で、誰より知っていて、その間に貴弘が入れることなど ないのはよく知っている。 夏流の洋平への執着と、紀一への嫌悪は、好きな相手と恋敵のような 関係なのだと思っていた。 「なんだその顔は・・・洋平を抱けと言われれば抱けるだろうが、抱いたところで 何が変わるわけでもないし、俺のそばにいろと繋ぎとめられるやつでもないのは解っている」 「・・・そう、なんだ」 じゃあどんな感情でどんな関係なんだ、と説明されても、貴弘には 理解できそうにないから聞かないが、複雑なまま何かを納得してどこかがほっとした。 それが顔に出ていたのか、夏流が顔を寄せて笑う。 「嬉しいのか」 「・・・えっ」 「洋平に妬いてたのか」 「え、ち、違う、けど・・・っ」 「そんな顔をしているのに?」 どんな顔だ、と否定したいが、貴弘自身自分の顔がどんなふうになっているのか解らない。 ただ、顔が熱い。 不愉快だと言った夏流が、感情を翻して笑っていることが、貴弘の顔を赤くする。 「なつ、夏流、待って、あの」 行動を再開させて、覆いかぶさってくる夏流に、最初を思い出したように貴弘は手を掛ける。 その手を取られて、目の前で指にキスをされた。 もう駄目だった。 この夏流に、貴弘が勝てたことなどないのだ。 「教えろよ。俺はお前を、どうやって抱いた?」 つづく ***** はー終わりに近づいてます! いっきに詰め込んだ感がありますが。 まぁここに落ち着くわけですよ。 じゃなきゃ終わりません。 本日もお仕事。 明日もお仕事。 来週もおそらく。 あーボードにいきたーーーい。 そういえば、森薫著の「エマ」にはまって、思わずアニメも みてしまいました。 最初のころは、まぁ良かったんですよ。 でも第二幕!! どうして! なんで! そんな話になるの・・・と原作と違うところに残念な感じが 残りました。 あああ。漫画だけでよかったかも。 ハンスはそんな気持ちを出す男じゃないでしょー? PR |
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