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「武王の門 上」 北方謙三 著 重明―――――ッ!! 武澄――――――ッ!! とりあえず・・・上巻で二回咽び泣く。大地に手を突いて叩き割りたいほどだ。 さらに懐良と武光の襟首掴んで脳みそグラグラさせたいくらいに!! そんな感想からスタートしたコレですが。 正直、実はこの作品が北方歴史小説の第一作だったりする。で も時間軸からいくと・・・この流れでもおかしくないのよ。うん。 主人公はこちらも後醍醐天皇の皇子、懐良。それと同時に夢を抱き、 配下としつつも友であった菊池の棟梁、武光の二枚看板が並ぶ。 懐良親王はその産まれゆえ、幼きころより叡山で過ごし、 父帝の呪詛のような血を受け継ぎつつ四国を経て九州へ向かう。 そこで、「征西大将軍」として九州征討と統一を目指す――その生涯を描くストーリィだ。 九州へ来たのがわずか八つ。 若く眩しい青年時代を戦をこなし政治を納め、誰もが仰ぐ大将軍となる。 その九州を治めるにあたって、手を組み友となったのが菊池一族で、 庶子にありながらも実力で長となった武光という武人だ。 武光という男の生涯も、その最後はとても息を飲むほどのものだけれど、 それ以上に物語を読んでいくうちに、実は何度も「これ以上読みたくない、」とひしひしと感じた。 それは、あまりに登場する人物たちに心を呆気ないほど奪われてしまうからで。 その容姿が、状況が、少しの変化を見せるだけで待ち受けるのは「死」である。 南北朝の時代、いわば戦国の世に等しく、何かの弾みで呆気なく「男」が命を落とし、 紙一重でしかし拾いもする。 生き延びる彼らに惚れれば惚れるほど、その先が辛くなって仕方ない。 下 に続く。 PR |
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しばらく日記の穴埋めに、読んだ本について 言いたい放題に書いてみる。 ・・・あな、と打ったら孔と変換した自分のパソコンが・・・ なんか悲しい。 「破軍の星」 北方謙三 著 オープニングは主人公、北畠顕家(きたばたけあきいえ)が陸奥守に任じられて 若干16歳で奥州入りするところから始まる。 安家太郎(秀通)が山の中からその行軍を見るところから始まり、 次には親房(顕家の父)が六の宮(義良親王、六歳)を膝に抱いて輿に乗り、 その行軍の中からの風景だ。それを経て、漸く登場するのが顕家だ。 もーなんつーか、さすが、としか言いようのない初っ端から引き込まれまくりのストーリィで。 時代は南北朝時代、わずか4歳で従五位下になり凄まじい勢いで 朝廷に登り詰めた顕家くんの、21歳で終える生涯を詰め込んだ一冊だ。 学問に秀でたところがあり、後醍醐帝にそれを見込まれたのか、 陸奥守に任じられたのだが――それまで朝廷人だった顕家に、武人になれ、と 言うようなもので、しかしやっぱり只者ではない顕家くん。 新陸奥守を警戒していた安家一族を筆頭に陸奥を素早く治めてしまわれる。 ただの若輩者、と侮るものなど1年も経たないうちにいなくなる。 顕家くんがしでかした歴史の事実は、まぁ年表見るかこの本を読んでくれ、 と言うのが早いのだけれど!! あ――くそ、叫びたい!! クタバレ足利直義!!(尊氏の弟) こいつがこいつが大塔宮を・・・・!! と本を引きちぎりたくなるほどの怒りでした。 本当は、足利の棟梁である尊氏を憎むべきなんだろうけれども・・・なんだろうな? 他の本を読んでいるからかもしれないが、どうしても・・・尊氏くんは 捻り潰したいほど憎くならない・・・ 不思議だ。 顕家が素晴らしい人物なのは、集まる武将たちが命を懸けるところを見れば一目瞭然で。 さらに顕家の最後は八万の軍勢に百騎足らずの自軍で打ち向かうもので、そのとき21歳。 その若さは、若さゆえ、誰もの心をひきつけたし、周囲への目の配りようもまた 信頼を大きくさせるもので。尊氏が顕家を脅威と感じるのも無理はない。 顕家の人生は、まさに公家ゆえにさらに出来る人物ゆえに、時代に振り回された、とも言える。 けれど私の心を捕らえ打ち振るわせるのは、彼が自分の人生を自分に悔いなし、と 生き延びたと分かるからで。 この読みにくい漢字の人物は、一生私の頭から消えることのない存在になってしまわれた・・・ 北方さんの時代小説を、ここから入れたことに私は感無量でございます。 |
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