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薄暗いフロアは、足場が見える程度の間接照明が多く、
落ち着いた雰囲気を出したバーだった。 入り口から地下に入ったところにある店内には前から グランドピアノが黒く光っていたのは知っていた。 黒く重い扉を押し開けると、ゆったりとした曲が 耳に届いた。 BGMではない。 誰かがピアノを弾いているのだ。 フロアは20人ほどが詰めてもゆったりとできるほど広く、 カウンターの奥にバーがある。 その隣の小さなステージとも言えない場所に、ピアノが 鎮座し、普段は置物と化しているそこに人が座っていた。 ゆっくりとしたテンポではあるが、曲を春則は知っていた。 ――ニューシネマパラダイス? 驚いたのは、そのシャツの背中が誰かわかったからだ。 スーツのジャケットはピアノの上に投げ出してある。 ネクタイが左の肩から背中に流れていた。 袖を肘まで捲くり、節張った手が鍵盤の上をゆっくりとだが 的確に動いていた。 フロア全員の視線がピアノに向かっている。 バーテンもスタッフも時間を止めたようにその姿を見ていた。 春則は曲が終えるのを待ってドアの前から動いた。 盛大ではない。 しかし感情の篭った拍手がフロアから広がった。 ピアノの前に座っていた男はジャケットの傍に置かれた グラスを手に掲げて見せ、薄く笑ってそれに答えただけだ。 「芸達者だな、あんた」 春則が声をかけたのはグラスとジャケットを手にカウンタに 戻ろうとした背中にだった。 フロアにはすでにいつもの雰囲気を出すためだけのBGMが 流れている。 ジャケットを手にした繕はゆっくり振り返り、 「昔知り合いにあれだけ仕込まれてね」 「何のためにかは聞かないでおくけど、何で弾いてたんだ?」 春則は繕の隣に並び、なじみのバーテンに自分の注文を頼んだ。 繕はスツールの背にジャケットをかけて腰を乗せ、肘をついたまま 春則を見て笑った。 「時間つぶしだ」 春則は目を細めた。 その時間つぶしに、今日はフロア中の視線を独り占めだった。 ため息を吐いて、春則は繕から視線を外した。 「よくやるよ」 「どうも?」 「褒めてねぇ」 並んだ背中に、いつもの時間が戻った。 ******* IN 熊本。です。 旭陽くんにいわれて勢いで書いてます。 ホテルのロビーにピアノがあって、その周りが カウンタになってたんですよ。 それで思い付きを言ったら、書け、と旭陽くんが。 そして今、もう書き終わったことに傍で驚かれて おります。 これだけ打つのに、いつもどれだけ時間をかけてるの この子は・・・ 本日は熊本城に行ってきました。 そこを出たあたりで雨が降り出し、あんまり観光は できなかったけど、いつものようにデパートでウィンドウ ショッピングなど(笑 絶対に着ない! と言い張る羅夢.ちゃんに試着をさせる ところまではよかったけど、買わせられなかった・・・ すんごくかわいかったのに。 あのピンクのドレス。 着たところも見せてもらえなかった。 次回はショウができるくらいがんばりたいです(笑 旭陽くんには明日どうにか何かを買わせたいです。 私は靴を買います。 なぜなら本日、サンダルが壊れたから。 秋らしいブーティがほしいです。 ショートブーツでもいいです。 熊本まで来て買い物の旅・・・まぁいいんですよ。 明日は阿蘇に行きます。 楽しくドライブしてしゃべり倒しておいしいもの食べて いろんなもの買って、充実した旅にします。 そんな私の写真は、旭陽くんがブログに掲載中(笑 そちらもよろしく。 |
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「ね・・・ねえ、やっぱり、やめようよ」 前ゆく2人に小さく声をかけると、くりんと長い髪をなびかせて 翔子が振り返り強く言った。 「何言ってんのここまで来て! 深津も知りたいでしょ?!」 目が爛々と輝いている。 深津のためというより自分の好奇心を満たすためだと はっきり解ったが深津には言い返すことはできなかった。 「諦めろ深津。気になることは気になるんだろ」 翔子の隣に並んだ辰彦にも言われ、深津は頷くような頷かないような 曖昧な角度で顔を傾ける。 航太郎が週に何度か、学校が終わると急ぐようにどこかへ 向かうのは知っていた。 深津の視線は気付くと航太郎を追っているのだ。 それに気付いた辰彦も航太郎の行動に興味を覚えた。 さらに航太郎を直接知らない翔子が目を輝かせ、3人で帰っている 途中でどこかへ向かう航太郎を見かけたものだから後をつけ始めた ――わけなのだが、正直深津には不安でいっぱいで何度も 止めようと声をかけた。 航太郎のことは気になる。 後を付けた、なんて本人に知られたら怒られるかもしれないし、 最悪軽蔑されて嫌われるかもしれない。 それだけは嫌だった。 しかし気になる。 どこへ行くのか、誰と会うのか。 もしかして彼女と待ち合わせているのか――そうだとしたら さらにショックを受ける。 でも現実を知って傷を受けるなら早い方が楽になる。 鬱々とそんなことを考えながらなのではっきりと止めることも 出来ず、ただ深津は楽しそうに航太郎を追う2人に付いて いくしかなかったのだ。 人ごみにこそこそと隠れながら、駅前に近い映画館へと 航太郎が入っていく。 「映画?」 「待ち合わせかな」 「一人で見る趣味はないだろ」 「デートかな!」 「野郎とじゃないだろーなー」 辰彦と翔子が楽しそうに会話する中、深津はそれに 酷く打ちのめされたように沈んでいった。 顔が泣きそうに歪んでいるのも解かる。 解かっていたけど。 航太郎がもてて、当然彼女くらいいるだろうとも 解かっていたけど。 自分がどう出来るとも思ってもいないけど。 それでも、深津は落ち込んだのだ。 そんな深津に翔子は楽しそうに振り返り、 「もーそんな顔しないでよ! せっかくの可愛い顔が 台無しよ!」 「そうそう、ほんとに一人で映画、なんて寂しい趣味 持ってるだけかもしれないだろ」 慰めてくれているのかもしれないが、友人たちは とっても楽しそうだ。 「べ、別に、一人で映画見たって、寂しい趣味とかじゃ ないと思うし・・・」 誰かが航太郎のことについて、貶めるようなことを 言うとつい深津は反論したくなってくる。 どんな趣味だって航太郎ならいいと思う。 どんな面を見たって、深津の気持ちは変わらないのだから。 言い返した深津に、2人はさらに楽しそうになった。 「まー寂しくはないけどー」 「でもあれかもよ? ほら丁度アニメも上映してるよ?」 「あーこのアニメかーそれをひとりでこっそり見に来てるわけだ?」 「つまり航太郎先輩は、オタクな人ってこと?」 「そうなるな」 「えー! へーえ! そう! そんな感じしないのにねー」 「人は見かけによらないって言うだろ」 「そうだねーオタクな人かー部屋にポスターとか貼ってあるのかしら?」 「かもな。しかも超巨大なやつ」 「うわあーそれを毎日ひとりで見てニヤニヤしてるんだ!」 「あー想像したらこえーな。しかしあの先輩にそんな趣味がねー」 「これは深津も考えものよねっどうする?!」 「ど、ど、どうって、どうって、なに、が?!」 勢いよく2人は呼吸もテンポも合って話すので、深津は反論しようにも 口を挟む隙がない。 さらにそんな質問をされても、どう答えたらいいのかも解からない。 「だからぁ、航太郎先輩がオタクだった場合、よ」 「そうだぞ。オタクの先輩だぞ?」 2人が楽しそうに、しかし真剣に深津に詰め寄った瞬間、低い声が響いた。 「誰がオタクだって?」 驚いて、勢いよく振り返るとそこに件の先輩――航太郎が青筋を 立てるような無気味な笑みで立っていた。 「あっれ、先輩、グーゼンっすねー!」 辰彦が今までの会話などなかったように声を返すが、航太郎は じろりと睨み、 「人のあと付けるようなヤツに趣味がどうとか言われたくないぞ」 「あれ、気付いてました?」 ははは、と笑ってごまかす辰彦に、航太郎は当然だ、と息を吐く。 「あんなへたくそな尾行に気づかないはずないだろう。時間が なかったんで放っておいただけだ」 しかも映画館につけば声を抑えるでもなく大声で話しているのだ。 「ナニに急いでたんすか?」 「バイトだよ。ここでモギリのバイトしてんだよ」 「あーなるほど」 「こっちの子はお前の彼女か? 前に言ってた」 「そうですけど」 「こんにちは初めまして、東翔子です」 翔子は可愛らしい顔を最大限に生かしにっこりとほほ笑むが、 先ほどの会話を聞いてしまった航太郎はその下にあるものを 見抜いて苦笑するしかない。 「どうも、木崎です・・・つか辰彦、お前もどうなんだよ。S講館の 彼女ってどんな手を使ったんだ?」 「ちょっと先輩、失礼ですよ。まぁS講館の彼女ってか、彼女が S講館に入ったっつーか」 S講館は地元どころか県下でも上位に入る超絶進学校だった。 その制服を着ている翔子は普通の学ランを着ている辰彦や 深津より目立つ。 「話には聞いてましたけど、すんごく爽やかな先輩だね」 「俺も話には聞いてたけど、想像してたより面白い子だね」 翔子と航太郎が裏のありそうな笑顔で笑い合う。 「しかしひとのあと付けて勝手な想像してお前らも暇だな」 「いや、暇ってわけじゃないですけど」 「楽しそうだったからー。ね、深津?」 「う、えっ?!」 それまで会話に入ることなく慌ただしく流れる周囲に付いてもいけず 呆然としていた深津は突然振られ、焦った顔で口を開閉させた。 「長谷川、普通に漫画くらい読むけど、べつにオタクじゃないぞ、俺」 どこか困ったような、それでいて真剣な顔で言われて、深津は 何を言うこともできず、ただ何度も頷いた。 そんなこと、解っている。 いや、どうだっていい。 航太郎が航太郎であるなら、深津は何だって受け入れられる。 しかしそんなことを思った自分に恥ずかしくなり、深津はますます 顔を赤くして、俯くしかないのだった。 「長谷川?」 どうしたんだ、と首を傾げる航太郎の側で、友人2人が面白そうに 笑っていた。 ***** 再び勢いで書きました。 高校生の深津も大人の深津もかわんねーなー(笑 ただ、初めて書きました、翔子ちゃん。 辰彦の彼女です。 いつか中学生編を書いてちゃんと登場させたいです。 お盆休み目前にして、なんだかとっても体力がないです。 すでにヘロヘロっつーか気持ち悪いっつーか。 あー治まりかけてた夏バテ復活っつーか。 昼にくったカラアゲがトドメだったっつーか。 まめにおいしい野菜料理のお店に連れてってもらって 回復したいです。 楽しみだ。 |
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「みーくん、宿題終わったの?」 暑い夏、涼しい部屋の中でだらけていると、部屋の主が言った。 ここは俺の部屋ではなく、隣のにーさんの家だ。 自分ちより綺麗で快適で、居心地がすこぶるいい。 さらにいつでも快く迎えてくれるから、俺は自分の部屋より 入り浸ってる気がする。 にーさんと肩を触れさせるようにもたれ合っていると、 ふいににーさんが言ったのだ。 「・・・宿題って・・・」 俺はすごく変な顔をしながらにーさんを見るけど、にーさんは 自分が何を言ったのか分かってないみたいでいつもと同じように 微笑んで俺の答えを待っていた。 「あのさぁ、俺もう子供じゃないよ?」 「? うん、分かってるけど?」 「宿題って・・・小学生じゃないのに」 「え? 宿題って言わない?」 「言わないよ! ナニソレ。それに課題ならほとんど 終わってるよ、もう」 「へー。課題って言うんだ。そういえば・・・そう言うかもね?」 「言うかもねって・・・」 いつもながらマイペースなにーさんは俺を呆れさせる。 本当にこの人、俺をいつまで小学生だって思ってるんだろ。 にーさんとの年の差はちょうど10歳で、これは結構大きい。 子供のころより、なんか今のほうが大きいような気がしてきた。 「みーくん、小学生のころ本当に可愛かったよねぇ」 それにしみじみ言うもんだから、俺が面白くなくなっても仕方ない。 「・・・俺、小学生のままのが良かったの」 まるで拗ねたみたいな声になってしまった。 小学生みたいというより、これじゃまるきり小学生だ。 にーさんは拗ねた俺に嬉しそうに笑った。 「何言ってるの、早く大きくなるの待ってたんだよ? 子供に戻られたら 僕が困るよ」 さらりと言われて、俺は少し顔が熱くなった。 「・・・そ、それって、その」 「・・・ん?」 にーさんは身体を起こして、俺を側にあったベッドに押し付けた。 俺は背中にベッドで、前からにーさんに来られて、逃げ場がない。 にーさんは笑いながら、ゆっくりと顔を寄せてくる。 唇が触れる、と思って目を強く閉じたのに、予想とは違って にーさんの息が耳からうなじにかかった。 「ん・・・っ」 「僕、幼児趣味はないから。本当に、待ってたんだよ?」 「う・・・ん」 「ねぇ、本当に解ってる?」 何度も確かめられるように微笑まれるけど、俺には頷く以外どうしようも 出来ない。 にーさんの手が、俺に触れる。 そこから、外より熱くなってる気がする。 「みーくん、解ってる?」 解ってる。 解ってるから、そんな顔して聞かないで。 「解ったら・・・僕を見て、口を開けて」 子供のころから一緒だ。 にーさんの優しいお願いに、俺は逆らえたことはない。 ******* いきなりSSを書いてみました。 というのも、旭陽くんのところから飛んだイラストレーターさんの イラストに、いたく感銘を受け(笑 思わず書いた。 あの絵でこんな妄想をした私を許してほしい。 勝手に書いたことも許してほしい(願 旭陽さんのHPにブクマしてある旭陽くんがいたくお好みな 絵描きさんの一番新しい作品だと思われる。 タイトルはそのまま「お隣さん」 柔らかそうな大人の人が攻めでしかも鬼畜ってると もうどうしようもなくときめく。 心臓が壊れそうなほどときめく。 そんなときめきをありがとう。 今週より姉が子供を連れて帰ってきた。 うるさい。 もうすんごくうるさい。 想像以上にうるさい。 どうして子どもは増えるとうるさいのか。 おちついて話もできやしないよ。 姉がいることで父のテンションもあがりまくっててさらにうざい。 それでも基本萌えを忘れぬ女子として。 日々戦っていきたいです。 |
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