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「嶋さん、お茶です」
「ん――ああ、ありがとう」 外回りから帰ってきた嶋にお茶を出す新入社員は傍目に見ても 解かるほど緊張していた。 帰ってきてすぐパソコンに向かっていたが、声をかけてくれた相手には ちゃんと顔を向けてお礼を言う。 それだけで緊張していた彼女は真っ赤になって慌てて頭を下げ、 逃げるように給湯室へ走り込んだ。 「おかえり、って、そんな緊張することじゃないでしょ。お茶出しくらい」 先輩には呆れられるが、これが緊張しないでいられるだろうか。 少しクセのある明るい色の髪は、どうやら天然のものらしい。 切れ長の目は二重でくっきりとしていて、すっと通った鼻筋も形の良い唇も、 姿勢が良いので吊るしのスーツを着ていてもモデルにしか見えない。 それでいて人当たりもよく仕事も出来るとなれば、間違いなく彼はこの社で 一番の人気ものだ。 それが嶋 浩次という男だった。 「無理っ無理ですっだって目が合っちゃったんですよっ」 これが緊張しないでいられるだろうか、と顔を真っ赤にする後輩に、 先輩も確かにね、と頷く。 「あんな美形に声をかけられたら理性なんて飛んじゃうわよね」 「嶋さんになら遊ばれてもいいって思うもんね」 「あ、遊び、遊びって――うう、でも、付き合ったりとか無理ですけど、 遊ばれてみたい――」 いったいどんな夢のような世界に行けるのだろう。 すでに夢の世界に飛んで行ってしまっている後輩に、先輩は苦笑して 引き戻すことにした。 「あのね、あの人って、この社内で告白され率NO1だけど、 振られ率もNO1なのよ?」 「・・・えええっ」 何でですかどうしてですかあんな人を振るなんてどうかしてますよ! 勢いで咬みつくように答えた後輩に、やはり笑うしかない。 「だって・・・ねぇ」 「ねぇ、なんかすっごく、外見裏切ってるのよねーあの人も」 遊ばれたい。遊びたい。 現実的なことなど考えたくない。 そう願って付き合うのに、嶋は至って普通――よりもとても、 真面目な男だった。 一夜限りの夢では終わらず、一線を越えてしまったからには責任を取る ――そんなことを言われては、現実が目の前に突き刺さる。 ハーレクインの世界から、一気に昼ドラに落ちていく感じだ。 夢のまま覚めなければ良かったのに、現実を見れば嶋という男と 一緒にいる自分の存在のなんとみすぼらしいことか――とてもじゃないが、 並び立つ勇気も度胸もない。 さらに現実を見た生活感溢れる会話をされると、興も覚める。 「あ、ほら、加村さんが話しかけてるわよ」 先輩に促されて、すぐにフロアに視線を戻すと、嶋の隣に座って 加村が話しかけているところだった。 この会社で1、2を争う人気者の二人だ。 思わず、耳を大きくしてしまうのは仕方がない。 「嶋、今日飲みに行かないか」 「んー悪い、パス。今日中にこの書類作ってしまいたいんだ」 「なんだよ付き合い悪いなー、せっかく可愛い子のいる店見つけたのに」 「・・・お前な、付き合ってるやついるんだろ、振られるぞ、 んなことばっかりやってると」 「その時はその時だよ。それより、可愛い顔ですっごい巨乳なんだよ。 見ないと人生損するぞ?」 「そんな損、したって構わない」 「お前やっぱり、その顔もったいないよなぁ。もっと有効利用しろよ」 「してるよ、もう充分だ」 「充分遊んでるって? 言うね」 「・・・もうお前、向こう行け」 嶋浩次と加村輝司。 名前は同じ読み方なのにこんなにも正反対なんて、不思議よね。 先輩の言葉に、後輩も何度も頷いた。 いったいどんな遺伝子配列を間違えて、こんな風になったんだろう。 「付き合う付き合わないとかっていうと、すっごく格好いい二人なんだけど、 でもねって躊躇っちゃうんだけど・・・」 「こうして見るだけならね」 「やっぱり眼福よねー」 先輩たちの言葉に、後輩も壊れるほど何度も頷いた。 眼福だ。 どんな会話がされていようとも、格好いい二人が並ぶとこの上なく幸せだ。 彼女たちのウワサはこれからも続いていくのだった。 ***** 続きを書いてみました。 コウジはコウジでもこうも違うと面白いものです。 その二人がいろんなことしちゃうとなればさらにおもろいものです。 うむ。 この週末、新しい本棚を購入。 愚弟の部屋のひとつに私の本を3分の2ほど移動しました。 はー 結構な労働です。 移動先が2階だったもんだからとくに。 この移動については・・・いろいろあるんですが、 話すとすんごく不愉快なことも話さなければならないので もっと落ち着いてしまってからに。 しかし移動したときは、新しく本棚も買ったりして 結構棚に余裕があるのに、どうしていつもいっぱいになって 溢れてしまうのか・・・ 買った本を全部残してるわけじゃないのになぁ。 不思議だ。 そういえば、年末年始のボード旅行。 今週くらいに申し込みしようと思います。 どなたかいらっしゃいましたらその時までに。 初対面でも大丈夫だと。 楽しいオフ会程度のつもりでご参加ください。 まーずっと私滑ってますけど! PR |
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