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【2025/06/17 07:29 】 |
加村 輝司のウワサ
「あっ加村さん、帰ってる――あの、私お茶持って行っていいですか?」
営業部の給湯室からそっとフロアを覗いた今年入ったばかりの女子社員が、
目当ての相手を見つけたのか嬉しそうに言った。
受けたのは指導に当たっている先輩社員で、そこにたまたま一緒にいた
同僚たちと驚いたように目を瞬かせて見合わせた。
「えっと、やっぱり、ダメですよね・・・」
好きな人に気持ちを隠すことなくアピールするのはいいが、ここは会社だ。
先輩を差し置いて、そんなこと許されるはずもない――と俯いたのだが、
先輩たちの反応は違った。
「ダメじゃないけど、貴方加村さんが好きだったの?」
どこがいいの? と問うような口調だったので、俯いた新入社員は
顔を輝かせて語った。
「だって加村さんって、なんか地味だなーって最初思ったんですけど、
よく見てるとなんかドキドキする色気があるっていうか、大人の男の人って
こういうのかなって思って、それに仕事も出来るし――」
キラキラ輝く目は夢を見ている。
先輩たちは口にしなくても同じ感想を抱いた。
確かに、加村輝司という男はモテる。
一見、本当に地味に見える。髪は一度も加工していないような黒髪で、
柔らかそうでセットしているのだろうが、サラリと流しているだけだ。
目鼻立ちもはっきりしているわけではないが、一重の目はすっきりとしていて
爽やかさを感じる。
唇はいつも微笑んでいて、誰かと視線が合うと必ず愛想よく答えている。
いつも黒いスーツを着ているが、地味に見えるシャツやネクタイはよく見れば
かなり選んでいる洒落ものだった。
「仕事が出来るっていうか――あの人は、上手いのよねぇ」
「上手い?」
先輩の言っていることに首を傾げると、フロアの中を指さされた。
「ほら、ちょうどいいタイミング。あの会話聞いてみたら?」
「えっ」
促されて、悪いとは思いつつも彼女はフロアの会話に耳をそばだてた。
 
「佐藤さん、丁度良かった――あのさ、今日の打ち合わせの書類、
まとめてくれないかなぁ? 明日までに」
「え――私がですか? そんなこと言われても私じゃ・・・」
「だって俺がするより、佐藤さんがまとめてくれたほうがすごく
解りやすいんだよね――早いし丁寧だし、もうほかの人には頼めないよ」
「・・・もう、今回だけですよっ?」
「ありがとう、本当、佐藤さんって優しいなぁ美人だし、もう言うことないよね」
 
「解かった?」
一連の会話を聞いた後で、先輩に確かめられて、新入社員は
複雑そうな顔をしていた。
「ええと、あれは、つまり」
「仕事は出来るんだけど、すっごく要領いいのよ、あの人」
「そうそう、あんなふうに頼まれたら断れないのよねー」
「乗せられてるって解っててもついつい受けちゃうの」
「格好いいってみんな知ってるけど、恋愛対象には入らないのよね」
「えっどうしてですか?」
「加村さんが入社してきたときの歓迎会、あれはもう伝説よ」
伝説?
びっくりした後輩に、先輩は面白く話してくれた。
 
地味に見えても、社交的で明るい加村は一気にその場で
人気を惹きつけていた。
隣に座っていた女性社員が、明らかに狙っている態度を隠さず、
付き合っている人がいるかどうかを聞いたのだが、
「今? 今は彼氏かな」
あっさりと答えらて、質問したほうも一瞬聞き間違いかと驚いたが、
加村の態度は至って普通だ。
「え・・・えっと、ホモの人? 加村さんって――」
「いや、別に。男だけが好きってわけじゃないよ。どっちでも気にしないだけで」
やっぱり明るく答えられて、聞き耳を立てている周囲もどう
反応していいのか解らない。
質問した相手だけはそれでも、ここで引き下がれないのか
表面上だけの笑顔を見せた。
「男の人もって、じゃあ、この課の男の人みんな対象なんですかぁ?」
「あのね、君は好き嫌いないの? 俺だって好みってもんがあるんだよ?」
加村の返答と笑みは、笑顔の相手を凍らせるようなものだった。
「じゃ、じゃあ、どんな人が好みなんですか?」
狼狽えるように質問を繰り返すことに、加村はその場の誰より爽やかに、答えた。
「俺を好きって言ってくれる子」
来る者拒まず去る者追わず――完全な博愛主義。
加村の評判は一気に広まった。
 
「そ・・・そんな人なんですか・・・あんなに優しそうなのにー」
新入社員の目は涙目で、フロアにいる加村に未練がましい視線を向ける。
「優しいか優しくないって言ったら、優しいんだけどねー」
「そうよね、加村さんに一度でもエスコートされたら男を好きだろうとほかに
彼女がいようと構わないって思っちゃうらしいけどね」
でも、そんな人だ。
営業部で人気があることだけは、確かだ。
先輩はしょんぼりとした後輩に慰めるように肩をたたいた。
「貴方も最初に加村さんに目を付けるなんてマニアックねー」
「格好いい人なら嶋さんも負けないと思うけどね」
「あー嶋さんは・・・格好良すぎるっていうか、もう私なんか夢も見れないっていうか」
「まぁね、その辺のモデルより格好いいものねー」
「ですよね! もう毎日姿を見れるだけで眼福ですっ」
「あはは、でも嶋さんもね、話すとさぁ・・・」
 
彼女たちのウワサ話はまだまだ終わりそうになかった。


*****

思い出したかのようにWコウジの更新です。
もうひとりのコウジも続きます。

あー今食べたとんかつきつい・・・
気持ち悪いよ・・・お肉が受け付けない身体になったのは
いつからじゃろう?
・・・結構前からですけど。
30超えたあたりから生ものもあんまり受け付けないように。
野菜を食べて生きよう。

年末年始、ボード旅行に行くことにしました!
白馬に!
一緒に行ける人募集中。
とりあえず、旭陽くんは連れて行きます。

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【2011/11/10 20:29 】 | たとえばこんな日常恋愛 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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