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「海ちゃん、青汁飲む?」
「・・・・はい?」 驚いた、というより、すっごく訝しんですっごく苦そうな顔をした海の顔に、 深津はそうだよね、と心の中で納得していた。 自分で言っててもなんだかそんな顔になりそうだ。 「青汁」といえば、「健康に良い」ってイメージで、でもそれと同じくらいか ――それを追い越すくらいに、「まずい」ってイメージが付きまとうものだ。 深津は粉の入ったスティックを振りながら、海に現物を見せた。 「美容と健康にいいみたいなんだよ。――ううん、みたいっていうか、 いいんだよね、本当に」 身体に良いものを飲んでいるのだから、いいはずだ。 だけど、美味しくない。 その一言で全てが霧散するというか、台無しになっているというか。 深津は複雑そうに、こちらを覗っている海に苦笑する。 「これ、まずくないんだ。美味しい青汁なんだよ。――本当に」 言った言葉に嘘はないが、なんとなく最後に一言 付け加えてしまうのはなぜだろう。 海も少し思い当ったのか、首を傾げて深津の手を見る。 「あー最近、なんか聞きますね。そういうのが出たって。 飲みやすくなってるんでしょう?」 「うん。飲みやすい。これなら毎日飲めるんじゃないかな」 「うーーーーん。でも・・・青汁なんですよね?」 美味しくても青汁。 それが海が躊躇するところらしい。 「昔、おばあちゃんに飲まされたことがあるんですよー青汁。 もうそれが、まずいのまずくないのってレベルじゃないくらいまずくて! もう人として口にしていいものと悪いものがあるでしょう?! てくらいで」 どうやら海はその味が忘れられないらしい。 深津は納得しつつも、手早くコップに青汁を作ってみた。 「僕もあんまり好きじゃなかったんだよ。美味しいからって言われても 信じられないというか信じたくないっていうか・・・でも、 一度飲めちゃうとこれがあっさりと」 人間って不思議だよね、と笑うと海は少し深津の手にある 緑色の液体に興味を見せた。 「深津センセってば、こういう健康ドリンクとか、好きでしたっけ?」 「ううん。特に興味はなかったんだけど――航さんが」 「ええっこーたろさんってばあんな顔で健康オタク?!」 「違います!! ――ていうか、顔は関係ないよね?」 勢いで否定してから、深津はため息を吐く。 海は時々、反射で航太郎を貶めることを言う。 これはほかの誰でもない、深津の師である奥の影響だ。 仕事は尊敬するけれど、これだけは良くない先生だ、と 深津は不満が顔に出てしまう。 「じゃあなんでこーたろさんは青汁飲んでるんですか?」 「ええと・・・説明は難しいんだけど」 「簡単に、お願いします」 きっぱりと言われて、深津は少し考え込んだ。 きっと話は簡単なのだ。 しかしそこに感情が混じるから、複雑になるのだ。 深津は思い出しながら、起こった事実だけを短い言葉で 繋げてみることにした。 「えっと、カットフルーツを貰ったんだ。すごく新鮮で、すごく美味しいもの。 美容と健康にいいから、ジュースにして飲んでくださいって。 それでジュースにしてみると、本当においしくて、航さんにも飲んでもらったら、 日本人なら健康に良い飲み物を飲むなら青汁だって言って・・・」 美味しい青汁を探して飲み始めることになった。 海は呆れた顔をしてそれを聞いていたが、 「・・・最後が意味わかんない」 「・・・そうだよねぇ」 深津もそうだろうと思ったので、一緒に頷いた。 話は複雑で、でも、単純なのだ。 カットフルーツは深津の顧客であるモデルであり医師でもある人に、 買いすぎたので、という理由でおすそ分けしてもらったのだが、 ジュースにしたそれを前に航太郎にいきさつを話すと、さっきまで笑顔で 美味しいと言っていたのに途端に眉根を寄せた。 「深津の美容とか、そんなの、どうして先生が気にするんだ」 そんなの知りませんけど、というか、そういう意味じゃないと思いますけど。 深津がどう言おうとも、航太郎の顔が戻ることはなかった。 そして、 「先生は外人だからな。こんなフルーツしか思い浮かばないのかもしれないが、 日本人なら美容と健康のために飲むものはこれって決まってるんだ!」 と、勢いに任せたおかしい論理を言い張り、青汁の購入を決めてしまっていた。 そういうわけで、深津はここのところこの青汁を飲んでいるのだが、 これが飲み始めると本当に続くもので、仕事の休憩中にも持ってきてしまったのだ。 複雑で単純な理由を知った海は、呆れた顔からびっくりした顔になる。 「は?! それで? それで深津センセに青汁飲ませてるんですか?! 深津センセーの美容を保たせるために?!」 「え。いや、美容と保たせるとか、そういうわけじゃ・・・」 「わーっもう、信じらんない! こーたろさんてばどこまで自分本位なんですか! 深津センセもセンセーですよっそれで素直に飲んじゃったりして! どこまでこーたろさんのこと信じてるんですか!」 「えっ信じてって・・・だって、本当のことだと」 「本当じゃないですよっそれって自分のために綺麗でいろって 男の勝手な言い分ですよっ」 深津の言葉を遮るように、海は手を握りしめて力説した。 しかし、青汁が美容と健康にいい、というのは事実だと思う。 深津がそう言っても、海はなぜだかプリプリと怒っていて、 それはその後一日ずっと直ることはなかった。 唇をとがらせて怒る海に、深津はとりあえず、 もう青汁は勧めないでおこう、とそっと決めた。 ***** 未来さん、新作ありがとうございます!! と、まず御礼から。 未来亭の未来さんが、新作の配信(有料)を始められました。 チャリティですので、その売り上げは寄付金にまわされるそうです。 相変わらず・・・すごいなぁ、未来さん。 少しでもその力になれれば、と私も一口――とかってすみません。 そんな高尚な気持ちではなかったです。 純粋に、未来さんの新作が読みたかっただけです!! だって面白いもん! というわけで、勢いで書いてみました。私も。 新作の短編を読んだ人なら分かってもらえるはず。 てか、浅見さんちのお手伝いさんって! 思い切り吹き出しましたよ。それわかる人ってどのくらいいるのかしら。 お手伝いのスミちゃんの気持を光彦さんは気づいているのかしら。 てか私、刑事局長のお兄ちゃんが好きで好きで溜まりません! 最近、現実では仕事以外でいやになることがあったばかりで。 久しぶりに楽しい気持ちになったのでした。 未来さん、いつもうれしい気持ちをありがとうございます。 そして、自分のHPを見て。 このところ更新という更新もしてないのに、日々いらしてくださる 皆様に感謝!! もうちょっと、もうちょっとこのささくれ立った気持が落ち着いたら。 何かを更新したいです。 とりあえず、簡単なところで拍手劇場とかですけど。 PR |
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電車の中でお腹痛くさせるの止めて(笑)俯かないと顔が笑っているのを隠せないの辛いっす。
続きを書くよ、僕は
【2011/11/10 12:55】| | 未来淳良 #bfb0680b [ 編集 ]
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