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真っ白な場所に、ふわりと現れた。
比喩ではなく、本当に浮くように突然現れたのだ。 夏流は目の前に立った人物を見て、少し考えた。 髪がまず、ひざ裏に届こうかというほど長い。 女に見えるが、身体のほとんどを覆うのはコートというよりマントだ。 それも埃にまみれた年代物だった。 その足元に見えるのは皮のブーツだ。 加工していない本物の皮のブーツは、古いという以前のものに見える。 つまり、現代の人間には見えなかったのだ。 そうして相手は畏まったように笑って口を開いた。 「初めまして、私はナイトメア。夢や記憶を食べる獣を退治するものです」 夏流は少しだけ目を眇めた。 言葉はないその微かな変化を、ナイトメアと名乗る少女 ――幼い子供に見える――は見抜いて、両手を顔の前で振った。 「あ、あの、頭がおかしいわけじゃないです。変な宗教に入ってる わけでもないです。そもそも、私はこの世界の人間じゃないんです」 真っ白な場所で、ナイトメアは真剣だ。 夏流はゆっくりと瞬いてその姿を見ていた。 そして、これは夢だな、とあっさりと判断する。 しかし夢だからといって、目の前の生き物の言っていることを 信じるかどうかは別だ。 「この世界に、ちょっと性質の悪い獣が潜り込んでしまって、 私はそれを捕まえるために来たんです。それで、あなたにお願いがあって、 こうしてあなたの夢の中にお邪魔しました」 夏流は一言もしゃべらず、相手が話すことをただ聞くままに流していた。 それで構わないのか、ナイトメアはさらに言葉を強くする。 「あなたの記憶が、とても極上で強い餌になるんです。 私はそれを貸してもらいたいんです」 「・・・なに?」 ここで初めて、夏流は口を開いた。 夢であっても理解を超えたのだ。 「その記憶を貸してもらえれば、きっとすぐに獣を捕まえることが出来ます」 力説するナイトメアに、夏流ははっきりと眉根を寄せて顔を顰めた。 「貸すということは、返して貰えるんだろうな」 「もちろんです! ちょっと数日、記憶がなくなってしまいますけど、 ちゃんとお返ししますから、そうしたら何も変わりはないですから 生活にも支障はありません」 数日記憶がなくなって支障がないとは思えないが、夏流は反論もなく聞いた。 「そしてそのお詫びに、何か一つだけ欲しいものを差し上げます」 「欲しいもの?」 「はい、何でも大丈夫です、おっしゃってください」 「それはどこかから盗ってくるのか?」 「いえ! 違いますよ、ちょっといろんなところに頼んで、最終的に 合理的にあなたの手に入るようにしむける――ようにするんです」 どうしむけるのか理解しかねたが、夏流はそれにははっきりと首を横へ振った。 「必要ない」 「えっ」 「欲しいものは自分で手に入れる」 きっぱりと断られたナイトメアが狼狽えた。 「え、えっと、あの、でも、お礼というか貸していただく代償なので・・・ ええと、じゃあ、あなたの大事な方の欲しいもの、とかでは?」 自分の欲しいものはきっぱりと断った夏流だが、そう言われて少し首を傾げた。 それにナイトメアはほっとしたように手を合わせた。 「お願いします、どうか貸してください!」 夏流がそれにどう答えたのかは――後日の話になる。 *** 未来さんへ ビリー隊長には・・・ついていく体力がもうないです。 寝転んでても腹を割りたいわがままな大人です。 もともと筋肉の塊だったので、別にいいかな、と 筋肉を取り戻してみることにしました! 昨日撮ったはじめてのおつかいを見ながら更新・・・ パピーマミーと一緒に見てます。 意外にパピーがはまっております。 PR |
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