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【2025/08/16 07:53 】 |
夢を喰う獣 7
洋平に手を引かれるようにして夏流の部屋に戻った貴弘は、
部屋に入るなり足をぴたりと止めた。
リビングのソファで、寛いで待っていたのは夏流ではなく――
「よお、久しぶりだな、貴弘」
目を細めて笑う、紀一だった。
貴弘が見上げるほどの身長で、ジャケットを着ればすらりとして見えるのに、
実際は流れるように動く肉体をもつ紀一は、貴弘は知らないが
まさしく黒豹と称されるままの男だった。
「紀一さん? なんでここに?」
驚いたのは、何の用もないのに紀一がここにいることだ。
夏流が紀一を嫌っているのは、貴弘は言葉通りに、その身体で知っている。
「あー、別に呼んだつもりはないんだけど、夏流の状態を話したら面白がって」
貴弘を連れて帰った洋平が、ため息を吐きながら諦めた声で言った。
この家の主であるはずの夏流は、テリトリーを追いやられたように
ダイニングのテーブルのほうへ座っていた。
帰ってきた洋平を見るなりその腕を掴み、抱き寄せる。
「洋平、どこへ行ってた。この男をなんで置いていく」
夏流の記憶が中学生だというのなら、もちろん紀一を知らないままだし、
得体の知れない大人であるはずだった。
夏流が紀一を嫌いなのは誰の目にも明らかな態度だったが、
今は警戒心もはっきりと見せていた。
洋平を傍に置いたのもそのせいだ。
「だから、お前をひとりにするのもダメだったから」
「じゃあお前がいればいい」
「そういう問題じゃなく!」
聞き分けのない子供に言い聞かせているようにも思えるが、
貴弘にはじゃれあっているようにも見える。
ここにきて、やはり夏流は貴弘を知らないままで、いったいどうすればいいんだ、
と貴弘が何も言えないでいると、ソファにいた紀一が手を取った。
「そんな顔するなよ、貴弘」
「え、え? そんな顔?」
無理やり隣に座らせて、細い肩を抱き込み腕におさめ、
紀一は人の悪い笑みを浮かべた。
「喰ってやりたくなる顔。夏流の頭がバカになったのは解ったけど、
洋平を俺も取られた。振られたもん同士、イイコトするか?」
体格の差ははっきりとしていて、抱き込まれてしまうと貴弘は本当に身動きが取れなかった。
顎を持ち上げられ、整った顔が近づく。
驚いたままで、抵抗することも忘れた貴弘がどうしたら、と困惑した瞬間、身体が浮いた。
どん、と何かにぶつかって止まった先は、今度は違う男の胸の中だった。
「・・・記憶がないんじゃなかったのか?」
からかうような紀一の低い声に、貴弘は自分が夏流の腕の中にいることに驚いた。
紀一はなんの抵抗もなく貴弘を離したが、貴弘を知らない夏流が、
貴弘を奪うようにして見せたのはどういうことだ、と混乱したのだ。
「知るか。お前の態度が気に入らない。人のうちで好き勝手するな」
紀一が口説こうとしているのが気に入らないのか、貴弘に手を出そうとしているのが
気に入らないのか、どちらかは解らなかったけれど、
貴弘は心臓を強く押されたように呼吸が苦しくなった。

つづく

*****

まだ続きます。
でも書き終ったのでいっきに行きますよ。
今年は水都の年にしようかな。
これは5月の話じゃけど、とりあえず4月だ。
もう書きかけているけど、途中で止めっぱなし・・・
なのを書きたい。
夏流にライバル現る!じゃけど相手にされるのかどうか
どうなのそこんところ?てゆうか脇役好きなので結構
脇役重点でそっちを詳しく書きたい。
てな話になると思います。

どぞよろしく
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【2012/02/29 14:52 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0)
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