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【2025/06/17 08:25 】 |
恋の終わる話をしよう 6
改めて気づいた。
大人のように、大人だから、お互いの生活を大事にして、あまり干渉しないような付き合いは、ミチルには足りなかったのだ。
相手のことを考えて、大人でいようとしたが、結局いつも不安があった。
自分と付き合っていて良いのか、不安で堪らなかった。
それを一転させたのは、目の前の男だ。
一般的にはストーカーという、犯罪と呼ばれるほどの想いが、ミチルは欲しかったのだ。
「どういう意味です?」
理解不能という顔を顰めるレキフミは、不機嫌だ。
その不機嫌な顔を見つめたまま、ミチルは笑った。
「俺は、君の気持ちが嬉しいらしい」
素直な言葉がするりと零れたのは、やはりミチルは少し酔っているのかもしれない。
そしてミチルは、今までで一番驚いた。
眼鏡の奥の瞳は、驚いて見開き、そして何の前兆もないまま、透明な雫を零した。
あまりに綺麗で、それが涙だと理解するまで時間がかかったほどだ。
「・・・レ、キ、フミ・・・?」
突然で、何の前振りすらなく、ましてこのひどい男と涙というのがまったく繋がらず、ミチルも驚いた。
ミツルの呆然とした声に、レキフミも気付いたように眼鏡を押し上げ手で目を覆う。
「チッ・・・クソ、マジかよ・・・」
舌打ちに続いて、口の悪い言葉が続く。
それはミチルに対してではないことだけは解る。
涙はすぐに止まったのか、もう一度レキフミは強くミチルを睨みつけてくる。
「あんたは本当に、俺を狂わせてくれますね?」
「何?」
「俺がストーカー? そうさせたのはミチルさん、あんたでしょうが」
睨んでみても、眼鏡の縁にかかる目元が赤い。
ミチルはそれに笑った。
「君、目が赤いよ」
 レキフミは機嫌が悪そうにその目を眇めた。
「君?」
指摘よりも、呼び方が気に入らないらしい。
まったく変わらないなとミチルは目を細めた。
「レキフミ、目が赤い」
「ミチルさんのせいですよ。あんたはもっと、赤くしてあげます」
覚悟はできていますよね、という声は、唇の中に消えた。
出来上がったばかりのテーブルの上の料理が冷める頃には、すでにミチルの目の方が赤くなっていた。
苦しいと解放も何度も願ったが、ミチルはそれが欲しかったんだ、と心が満ちるのを感じる。
ストーカーまがいの男もヤバイが、それが嬉しいと思う自分も充分おかしくなっていると笑った。



おわり

******

この小話は、レキフミを泣かせたいという目的のために・・・
あーすっきり!
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【2012/11/02 07:53 】 | 恋の終わる話をしよう | 有り難いご意見(0)
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