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【2025/06/17 12:40 】 |
王さまをやめる日 9

毎日を噛みしめるようにして、最後を迎えようと
気持ちを落ち着けていても、時間はあっという間に流れてしまった。

気付けば明日、王さまは王さまを辞めてしまわれる。

ご生誕祭とその発表をされるのとで、
王宮は用意に慌ただしくなっていた。

それも落ち着いたのは深夜になってからで、
最終確認や段取りの確認などをしてしまえばもう明日を待つのみだ。

私は式を進める祭官さまから何度も話を伺い、
王さまに確認していだこうと王さまの部屋へ向かっていた。

ようやく落ち着きを見せたような王宮が、
再び騒がしくなったのはその時だ。

 

「テロリストだ!」

 

 

誰かが叫んだ言葉を、私は一瞬なんのことか理解出来なかった。

 

しかしバタバタと慌ただしく走る衛兵や、
逃げているのか確かめようとするのか人が
行き交うのを見て、事態を理解する。

「突然後宮の中に武装集団が現れたらしい」

「逃がすな! 門を固めろ、進入路を確かめろ!」

怒鳴り合う声が行き交う中、私は何故か閃いた。

噴水だ。

巨大な噴水のある池からの排水は、
そのまま王宮の外へ流れ出る。

その排水溝も大きく、水が流れていないときは
大人が平気で通れるほどなのだ。

いったいどれほどの規模のテロなのかは解からないが、
私が思ったのは王さまのことだけだ。

自室で私を待っているはずの王さまの姿しか思い浮かばず、
私は走りだした。

王宮に入り込んだテロというのなら、
目的のひとつは王さまのはずだ。

王さま。

王さま王さま。

心臓が爆発しそうなのは、全力で走っているからではなかった。

私は泣きそうになるのを必死に耐えて、王さまの部屋まで駆け抜けた。

「王さま!」

中のことなんて何も考えず、私は扉を力いっぱい開けた。


つづく

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【2011/01/04 11:52 】 | 王さまをやめる日 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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