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ついてない。
ホントについてない。 どんよりとした空だったけど、とうとう雨が降り出した。 出かけるときにどうして傘を持って来なかったのか。 行きたくないという本心がいろいろ物を忘れさせてくれた。 唯一持っているイヤリングも忘れて、結局髪はいつものように下した。 雨量がゆっくりと増え始め、周囲は傘を差すか小走りになって急ぐ人々ばかりだ。 私はどちらも選ぶことなく、気持ちと一緒に足を止める。 どこかのビルの軒下にとりあえず避難して、本格的に雨宿りすることにした。 あーあ。 何で出て来たのかな。 やっぱり欠席すれば良かった。 大学を卒業して1年、ようやく就職した会社に慣れたころだった。 会社といっても大企業でも有名なところでもない。 仕事だって誰でも出来る事務職だ。 地味な人間が地味な仕事をして地味な人生を生きている。 そんな私が何で同窓会なんか行くことにしたんだろ。 しかも高校の同窓会だ。 成績は中の中で、外見も地味で、性格も地味で、 誰かの目に留まることなんて一度もなかったのに。 同窓会の葉書が来て、職場の先輩に世間話のつもりで話したら、 出席してみたら、と言われた。 学生の頃とは違うから、きっと昔解らなかったことに気付く。 そしたら楽しいよ、と教えてくれた。 一体どんなことに気付くのか解らなかったけど、なんだかその気になってしまった。 その時は。 実際に現実になると、この雨みたいにどんよりとしてユーウツだ。 深くため息を吐いたとき、スカートの裾と靴に水滴がかかった。 「あ」 本当にかかった、という程度で、私は驚いた声を上げただけだった。 「すまない、かかったか?」 「あ、いえ・・・大丈夫、です」 俯いた視界に男の人の足と畳んだ傘が見えた。 傘が閉じたときに水滴が飛んだんだ。 謝られるほどじゃない。 だって私の持っているワンピースなんて そんなに高いものじゃないし、かかったのは水だ。 拭くより放っておけば乾く。 それに、もう私はこのまま同窓会に行こうという気は なくなっていたから汚れても関係がない。 「大丈夫じゃないだろう・・・ちょっと待っていてくれるか」 「・・・え?」 はっきりとした声は凛としていて、暗い気持だった私に清々しく響いた。 でもどういう意味かと顔を上げたときは、すでに背を向けて ビルの中に入っていくところで、私は躊躇った。 本当に気にしてないから帰ってしまおうかと思ったけど、 一歩外へ出れば雨に濡れる。 傘を持っていないのだから帰ろうとすれば濡れるのは必然だけど、 私は足を動かすことなく、ただぼんやりと雨を眺めてしまった。 「待たせたな」 背中から声をかけられて、振り向くとスーツを着た男の人が立っていた。 私は何を言うでもなく、驚いた。 だってすごいかっこいい人だったからだ。 私に声をかけたということは、さっきの傘の人なんだろうけど、こんなの想像外だ。 「行こう」 「え・・・っあ、あの」 どこに、と私が聞く前に、私の背を押すようにしてビルの陰から出てしまった。 雨が、と思ったけど、私は濡れなかった。 いつの間にか差された傘が私の上にかかっていたからだ。 さらに歩道を超えて、車道に出て彼はタクシーを止めるように片手を上げた。 その手を見上げるようにすると、彼の肩が濡れていた。 なのに私は全然濡れていない。 水滴がかかったスカートすら、すでに乾き始めてるくらいだ。 「乗って」 「あの、ま、待ってください、なんで・・・」 「濡れるから、乗って」 言われて、私は止められたタクシーのドアの前で、彼の背中を見た。 傘は完全に私しか隠してない。 スーツの背中が濡れている。 私はそれをどうにかしたくて、とりあえずタクシーに乗った。 **** さて誰だ?(笑 結構前に思いついてて、勢いで書いてみた。 でも1話じゃ納まんなかった・・・ また明日にでも続きます。 タイトルも最初に考えてたのと違うしな。 拍手に入れようと思ったのだけど、なんか 放置して置けるような内容でもなかったので、SSに。 あそこはBLとして延々放置して置けるのが 許される内容でないと・・・(いやまぁ放置はどうかとは 思ってますよ。思ってますけど) 今日はびっくりするくらい快晴です。 気温もそんなに高くないです。 秋なのかなぁ。 台風過ぎたし。 PR |
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