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「こちらはいかがですか?」
恥ずかしいなんて思う前に着てた服を脱がされて、何着か着て 脱いで着て脱いでを繰り返して、ようやく落ち着いた一着を着せられて、 試着室から出された。 そしてスタッフの質問は私にではない。 外で待っていた彼に対してだ。 彼はスタッフの一人と話していたけど、その立ち姿にはっきりと見惚れた。 なんていうか、改めて見て、こんなにも素敵な人を私は見たことがない。 芸能人とか、モデルとか、そんな派手な人とかじゃなくて、 目が離せなくなってしまうような人だと思った。 そんな人が、私を見て笑った。 「似合うな。それでいい。ヘアメイクも頼む」 「はい」 また答えたのは私じゃない。 私なんか一生縁のないブランドだと思ったけど、でも服を売るお店だと思ってた。 なのになんでヘヤメイクまで出来るの? 私の疑問なんて誰も疑問と思ってないみたいだ。 私はされるままの人形みたいに、下してた髪も纏められて メイクもされて爪の先まで綺麗になってしまった。 大きな鏡の前に出されて、私は何か違うものを見てる気がした。 あれは誰だろう。 薄いピンク色のワンピースはきらきらと輝いていて、膝の上で細くタイトになっている 裾と、両肩を出し首を包むようにされるとすごく細く見える。 肩の下まであった髪はゆったりとしてるのに綺麗に纏められて、 何も付いてなかった耳には金色のイヤリングが小さくも存在をはっきりとしている。 何度か目を瞬かせて、何度も確認したけど、そこには地味な女はいなかった。 頬もキラキラしてて、いったいどうすればあの地味な女がこうなるのか 何の魔法をかけたのか、不思議でならない。 「えっと・・・これ、私?」 鏡の中で私の隣に立ったのは、スーツのあの人だ。 なんというか、私がびっくりしたのは鏡の中で並んで違和感がなかったことだ。 「やっぱりさっきの服より似合う。同窓会に間に合うか?」 「え・・・っ」 なんだかいろいろあって忘れていた。 でも改めて、思い出したけど戸惑うばかりだ。 「あの、でも私、こんな高い服払えません・・・」 「君の服を汚したお詫びだ。似合うのだから気にせず着て行けばいい」 「・・・困ります! あんなの、汚れたって言わないし。ううん、 もともとこんなのをもらうほど綺麗でもなかったし。 そもそも、同窓会にはもう行かないって・・・」 「なぜ?」 真正面から聞かれて、私は正直に言った。 なんだか言い訳みたいだけど、いや、愚痴に近いけど。 私が同窓会に行きたくない理由は、友達に会うのが嫌だったからだ。 高校のとき、私と同じように地味で派手さもなく、 それでも仲の良かった彼女は、大学で変わってしまった。 外見はどんどん派手になって、言葉使いもなんだか変わって、 高校から変わらない私を会うたびに批判していた。 もっと変われと。もっと綺麗な恰好をして、 もっと格好いい男の人を連れて、もっと遊べと言う。 そのうちに、彼女は玉の輿に乗ると言ってお金持ちの彼氏を 捕まえて、私を見下し始めた。 今回の同窓会も言い出し始めたのは彼女で、その葉書には 同伴者を連れてきて構わないと書いてあった。 同伴者なんていない私の足は、さらに遅くなってあそこで止まってしまったのだ。 俯いたまま話し始めた私を彼はじっと聞いてくれた。 だからこんな恰好になっても、私はやっぱり行けないのだ。 「背中が丸まっている」 「・・・え?」 話し終えた私の背を、大きな手が支えた。 「前を見ろ」 促されると、そこにも大きな鏡があった。 背中を伸ばすと、この恰好はとても美しく――私はとても美しく見えた。 「見た目は着飾れば誰だって綺麗になる。だが中身は、 外見がどれほど美しくても醜いものは醜い。俺は綺麗な女にしか声をかけない」 「・・・え?」 「同窓会の場所は?」 聞かれるまま、私は同窓会のあるホテルを答えた。 「で、でも、もう始まってるし・・・」 「開始時間に間に合わないと入れないわけじゃないだろう」 「でも」 「ほかに何が?」 「・・・確かに、綺麗になったかもしれないけど、でも私じゃないから」 「・・・ん?」 どういう意味だ、という顔が私に近づく。 そんな顔は、反則だと思う。 「私、これは、いつもの私じゃないし、だから、こんなの・・・」 一日だけ綺麗になっても、私の中身が変わったわけじゃない。 見かけが変わっただけなら、友達だったあの子と一緒になってしまう。 戸惑いながらも言った私の気持ちを、彼は受け止めてくれた。 「いいな」 「え?」 「時間が許すなら、このまま俺がエスコートしたいね」 「ええ?」 また背中を押されて、私は彼と一緒に店を出た。 そのまま外へと歩いて行く。 「その考えがあるなら、君はどんな恰好をしていたって、綺麗な女だと思う」 私が? 綺麗な女? この人、本当に私が綺麗だって言っているの? 建物を出ると、雨が止んでいた。 彼はまたタクシーを止めて、私に乗るように促した。 反対側から乗り込んだ彼は、同窓会のあるホテルを告げた。 彼は本当に私を同窓会に出席させるつもりみたいだ。 ***** 褒め殺しの術(笑 旭陽くんならこうはならないじゃろう。 見てー綺麗になたよー! と仔犬のように クルクルするじゃろうて。 すんごくひさしぶりに拍手劇場を更新いたしました。 中身もすんごく久しぶりの人です。 最近なんだか、虫にたくさん咬まれてる・・・ もう観念するしかない。 ベッドにダニがいるみたいだ。 今朝、とりあえず干してきた。 部屋に掃除機もかけなきゃ。 いったいいつからかけてないのか・・・前が思い出せないくらい 前で怖い。 掃除しましょう。掃除。 掃除するのが面倒で物を広げないようにしてるから汚れてないように 見えて、じつはほこりやらなにやらが。 除湿剤も変えなきゃ。 防虫剤も変えなきゃ。 小人かメイドが欲しいと思う今日この頃です。 PR |
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