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バーはビルの1階で、入り口はドアにかかる看板一つが
ライトに照らされているだけだった。 僕一人なら店だと気付くこともなかっただろう。 濃い木目の看板に、「ネム」とだけ書いてある。 ドアを開けると、カラリとドアベルが鳴った。 最近聞かない音に、僕は小さく笑った。 「いらっしゃいませ、春則さん。お待ちかねですよ」 「悪い、途中でちょっとな」 店内は広くない。 入り口からすべて見渡せる。 カウンタの奥にバーテンが一人と、ソファ席が2つ。 客も多くないし、むしろ多かったら大変だろう。 ここまで春則に手を引かれていた僕は、バーテンが声をかけた春則が 空いた手を上げて誰かに謝ったとき、足が止まるほど驚いた。 「――村瀬、さん・・・」 小さくこぼれた声は春則にも届いたらしく、僕を振り返りそして カウンタに座っていた村瀬を見返し、「知り合い?」と聞いた。 「まぁな」 村瀬は少し驚いただけで、すぐに表情を戻し口端を上げるようにして笑った。 とても人が悪く見えるのに、とても格好良く見えてしまうのは村瀬だからだと思う。 「それで、ナンパをしていて遅くなったのか」 「まぁね。あ、マスター俺モスコ。ヨシユキは?」 春則に手を引かれるままカウンタに座った僕は、 まだ動揺しながら「ジントニック」と言えた。 「大丈夫か?」 春則の向こうから、村瀬が僕を見ていた。 「顔が赤い。飲んでいいのか」 「あ・・・えっと」 それは、春則が僕の手をずっと握っているからだ。 告げると、春則は悪びれることもなく笑う。 「だって手がキモチイイんだよ」 「節操ないな」 「ロクデナシに言われたくないね」 村瀬の一言にも春則はあっさりと返す。 言葉だけはとても辛辣なのに、その口調も声も、あっさりとしていて、 羨ましく思える何かを僕は感じた。 「あの・・・お二人は、付き合ってるんですか?」 口にして、自分が一番驚いていた。 春則は少し首を傾けただけで、村瀬は聞こえていたはずなのに反応がない。 「そう見える?」 春則に笑われて、僕は焦った。 「いえ、その、なんとなく、勝手に・・・すみません」 「お前がが謝ることじゃないだろ」 何の反応もなかった村瀬の言葉は、ついさっきも聞いた気がした。 「ヨシユキはこーゆうとこ初めてなんだよ。でもレーズンに 行こうとしてたからさーこっちに連れて来ちゃったよ」 「ああ」 村瀬も知っている店なのか、ただ頷いた。 「これからは、一人でもここに来るといいよ。みんなイイヤツだし、マスターが美人だ」 改めてカウンタの中を見ると、バーテンはマスターらしく確かに綺麗な人だった。 優しそうに微笑まれて、僕は本当にここに通うだろうと思った。 何のきっかけがあったのか、村瀬が先にスツールから立ち上がった。 それに少し置いて、春則も立ち上がる。 「悪い、これから用があるんだ。先に帰るけど」 「あ・・・はい」 すごく寂しい気持ちになるのは、一人カウンタに残されたからじゃない。 春則は笑顔で僕の肩を軽く叩いたが、村瀬は顔を寄せ、 目を離せなくなるような顔で笑った。 「内緒だぞ、与之幸」 名前を呼ばれたのも、2回目だった。 固まった僕が息を吹き返したのは、二人がドアを出て行った後だ。 結局彼らは付き合っているのかいないのか。 わからないままだ。 でももう、聞くことはできないだろう。 僕は2回振られた気持ちになっていた。 だけど、胸の中は喜びと期待に震えていて、爽快感がいっぱいだった。 これを失恋というのなら、恋をしたというのなら、 僕は誰かを好きになってみたいと思った。 僕がネムの常連となったのは、それから一ヶ月もかからなかった。 ***** ちらちら出てくるくらいの二人が好きです。 これからもちらちら出てきます(笑 よろしくお願いします。 そして与之幸くん。 知り合いの名前だが珍しい漢字だったので使ってみました(笑 きっと幸せになるからいいよね。 与之幸は、そうだなー年下の、大学生とかとくっつくといい。 ちょっとスレた感じの子で。 不器用にでも可愛く恋愛するといい。 最初にするときに、攻受を楽しく決めてほしい。 「だって初めてだから、そんなの出来ない」 とか与之幸が拒む。けど相手の子も逆らう。 「俺だってしたことねぇよ。でもあんた男に挿れたことあんの」 とか突っかかればいい。 「ないけど・・・」 「俺はあるよ。俺のが経験者じゃん」 てゆって押しきればいい。 慣れてない二人の感じがたまらん。 あー楽しい。 てゆうことに花を咲かせてる場合ではなく。 私も勉強しよ。 今日の仕事はここで終わりです。 あでゅー。 PR |
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こんにちは。繕と春則、大好きです。SSがちょこちょこあって嬉しいvv でも!繕ばかり、カッコ良すぎませんか?この二人は張り合ってるのがステキなので、春則もうんとキラキラさせて、少し繕を唸らせて欲しいですvv
【2011/10/18 14:13】| | ばなな #5818090ffa [ 編集 ]
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