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【2025/06/18 01:16 】 |
膝の上と鬱痕


指定を受けたバーは間接照明が多く、過ごしやすい明るさだと思えた。
カウンターは一番目立つ、と教えられた通り、繕はフロアの端の席を選ぶ。
一段下がった場所にしつらえたコーナーの場所からは、フロアがよく見えた。
しかし薄暗さと低いせいで、周りからは見えにくい場所だろう。
4人は座れるL字のソファにひとりで寛ぎ、ウェイターに飲み物を頼む。
それからもう一度フロアを見渡した。
真ん中にカウンターが突き出している形になっていて、なるほど
一番目立っていた。
さらに今は団体なのか大勢の男女がそれを囲んでいる。
店の雰囲気から騒がしいほどではないが、賑やかだった。
その喧噪も自分には関係ないだろう、と繕は運ばれてきたグラスを
傾け、ゆっくり時間を潰すことにした。
繕の前に影を作るように人が立ったのは、その時だ。
一段上のフロアから見下ろすのは知った顔だった。
知り合いの知り合いという程度で、どこかですれ違っても
繕から声をかけることはない。
しかし相手は違う。
愛想良く幼いままの顔でにっこりと笑い、自分の飲み物を片手に
躊躇うことなく繕の隣まで降りてきた。

「村瀬さんだ。久しぶり。隣いい?」
名前はキナだった、と繕は隣に座られて思い出す。
成人しているはずだ、と記憶しているが、やはり幼く見えるのは
愛らしい顔立ちと甘えたがりな雰囲気を隠さないせいだ。
「なに飲んでるの? 今日はひとりなの?」
繕のグラスに手を伸ばしながら、キナは小さく首を傾げる。
まるで一緒にいた連れのように振る舞っているが、繕ははっきりと
フロアの方から刺すような視線が流れているのを感じた。
それはキナに向かっているのに、当の本人はまったく気にしていない。
カウンター周囲にいたのはキナの連れたちらしい。
「なんで黙ってんの? 怒ってんの?」
一度も口を開かない繕に、ようやくキナは少し顔を曇らせた。
繕は隣に視線を戻し、
「怒ってはいないが、お前を待ってるんじゃないのか。あの男が」
そう言ったのは、キナを見つめながら繕にはっきりと好意的でない
視線を向けてくる男のことだ。
キナは知ってるよ、とあっさり答え、
「仕事の付き合いのあったヤツなんだけど、しつこいんだよねー
ああゆうの、俺きらい」
すききらいで相手を判断するのも、どこか子供らしい。
「仕事の忘年会だったんだ、今日。んでここに流れて来たんだけど
正直帰りたいなーって、どうやって振ろうかなーって思ってたとこ」
「当て馬にするつもりか」
「極上のサラブレッドだもん」
これ以上ない相手だ、とキナは笑う。
春則が以前、どうしても甘えさせてしまう、と言っていたのを
繕はしみじみと感じていた。
同感だと思ったのだ。
繕は拒絶することなく、キナの腰に腕を回してやった。
さらに身体が密着したが、カウンターから見ている男はまだ
諦められないように気にしている。
「こういうことを他の男としていると、怒る男がいるんじゃなかったか」
キナの相手は弁護士をしていて、誰よりもキナを甘やかしていると
春則がぼやいていたのも覚えている。
キナは嬉しそうに笑って、
「いいの。だって犬養さん今いないもん。いないのが悪いんだよ」
だから違う男に助けてもらう。
キナはさらに甘えるように繕の膝に乗った。
さすがに跨いだわけではなく、横乗りだったが繕も突き放すでもなく
背中に手を添えてやったのに、カウンターから注がれていた視線は
ようやく離れていった。
「村瀬さん、髪触っていい?」
「構わないが、ぐしゃぐしゃにするなよ」
「乱れた村瀬さんも、色っぽいんだろうなー春則いいなー」
「俺に興味があるのか」
「村瀬さんは俺に興味ないの」
問いかけに質問で返すキナは、思ったより柔らかいと繕の髪を
梳きながら顔を寄せた。
少し顔を寄せるだけで、唇が触れる距離だ。
しかし繕は身体を少し離し、自分の内ポケットから煙草を取り出した。
咥えて火を付けながら、ゆっくりと紫煙を吐きだす。
「その気もないのに男の膝にのる子供に、興味はない」
「子供じゃないよ!」
即座に言い返したキナに、繕は口許を緩めて笑った。
それを目を瞬かせて見ていたキナの、冬だというのに大きく開いた
襟ぐりに顔を寄せ、細い鎖骨に歯を立ててやった。
「ん、あ・・・っ」
軽く吸って舐めると、キナが甘い声を零す。
啼かせてもいい声だな、と思ったが、繕はすぐ顔を離した。
「ガキだろ」
「もう! 子供じゃないってば!」
憤って見せるキナを膝の上で遊ばせて、繕は煙草を短くする方が
重要だというように紫煙を吐く。
しかしその唇が笑っているのに、キナは気付いていなかった。
この店では見えにくいかもしれないが、白い肌にははっきりと
繕の痕が残っているはずだ。
これを見たキナの男がどういう反応をするのか、そしてキナが
どうするのか、想像に難しくないと繕は笑ったのだ。

待ち合わせの男が呆れて2人を見下ろして来るまで、キナは
繕の上で甘え続けていた。



****

日曜日、倉敷でランデヴーがありました。
いつも一緒の旭陽くんと、久しぶりの羅夢.ちゃん。そして
初めまして、なうり.さんです。
楽しかったです。
沢山話しましたから! もっとしゃべり続けたいくらい
楽しく話しました! 初対面にも関わらず、私の相手を
してくれたうり.さんありがとう・・・
羅夢.ちゃんは本当久しぶりだった。お仕事もいろいろ
大変そうで、心配だけど、こうして会って和やかになるなら
もっとたくさん会いたい。今度は熊本だね!
そして慣れてしまってぞんざいな扱いになりがちの旭陽くん。
ちゃんと君のこともスキダヨ。ダイジョウブダヨ。

さて今回のSSは。
そのおしゃべりの折りに、出てきたシーン。
キナを好きだと言ってくれてありがとう!
そして繕と春則も愛してくれてありがとう!
なのでお礼をかねて。
やっぱり繕はキナが乗っても気にしませんでした(笑
そしてもちろん、最後に呆れて登場してきたのは春則さんです。
キナの気付かない繕の悪戯を見て、さらに呆れているんでしょう(笑

現実では来週私も忘年会です。
ぱーっと食べて飲んでしてきたいです。

 

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【2010/12/08 13:19 】 | SS | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
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有り難いご意見
繕…笑
キナかわいいよキナ!
と思ってたら、繕さん、なんてことを…!!(笑)
今夜はキナ、徹夜決定ですね。
そして春則と繕は、
「おまえ、ガキみたいなことするなよ」
「は? 何のことだ?」
なんて言いながら、何も気付かずに帰っていくキナを見送るんでしょうね。
もちろん何も教えずに(笑)
ああ、楽しい。

私も日曜日は、もっと話したかった&話を聞いていたかったです。
こちらこそ、初対面とは思えないくらい気さくに話してくれて、ありがとうでした♪

【2010/12/10 00:14】| | うり. #9a6ceff9f8 [ 編集 ]


無題
ありがたいssありがとうございます!!!
この2カップルが大好きで、何度も小説を読み返していますwww
その後の展開も気になってしまい、悶絶してしまいました・・・w

本当に素敵な小説感謝「です!!
【2011/01/09 03:34】| | マユ #2aab980ea6 [ 編集 ]


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