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【2025/08/22 19:51 】 |
膝の上と鬱痕


指定を受けたバーは間接照明が多く、過ごしやすい明るさだと思えた。
カウンターは一番目立つ、と教えられた通り、繕はフロアの端の席を選ぶ。
一段下がった場所にしつらえたコーナーの場所からは、フロアがよく見えた。
しかし薄暗さと低いせいで、周りからは見えにくい場所だろう。
4人は座れるL字のソファにひとりで寛ぎ、ウェイターに飲み物を頼む。
それからもう一度フロアを見渡した。
真ん中にカウンターが突き出している形になっていて、なるほど
一番目立っていた。
さらに今は団体なのか大勢の男女がそれを囲んでいる。
店の雰囲気から騒がしいほどではないが、賑やかだった。
その喧噪も自分には関係ないだろう、と繕は運ばれてきたグラスを
傾け、ゆっくり時間を潰すことにした。
繕の前に影を作るように人が立ったのは、その時だ。
一段上のフロアから見下ろすのは知った顔だった。
知り合いの知り合いという程度で、どこかですれ違っても
繕から声をかけることはない。
しかし相手は違う。
愛想良く幼いままの顔でにっこりと笑い、自分の飲み物を片手に
躊躇うことなく繕の隣まで降りてきた。

「村瀬さんだ。久しぶり。隣いい?」
名前はキナだった、と繕は隣に座られて思い出す。
成人しているはずだ、と記憶しているが、やはり幼く見えるのは
愛らしい顔立ちと甘えたがりな雰囲気を隠さないせいだ。
「なに飲んでるの? 今日はひとりなの?」
繕のグラスに手を伸ばしながら、キナは小さく首を傾げる。
まるで一緒にいた連れのように振る舞っているが、繕ははっきりと
フロアの方から刺すような視線が流れているのを感じた。
それはキナに向かっているのに、当の本人はまったく気にしていない。
カウンター周囲にいたのはキナの連れたちらしい。
「なんで黙ってんの? 怒ってんの?」
一度も口を開かない繕に、ようやくキナは少し顔を曇らせた。
繕は隣に視線を戻し、
「怒ってはいないが、お前を待ってるんじゃないのか。あの男が」
そう言ったのは、キナを見つめながら繕にはっきりと好意的でない
視線を向けてくる男のことだ。
キナは知ってるよ、とあっさり答え、
「仕事の付き合いのあったヤツなんだけど、しつこいんだよねー
ああゆうの、俺きらい」
すききらいで相手を判断するのも、どこか子供らしい。
「仕事の忘年会だったんだ、今日。んでここに流れて来たんだけど
正直帰りたいなーって、どうやって振ろうかなーって思ってたとこ」
「当て馬にするつもりか」
「極上のサラブレッドだもん」
これ以上ない相手だ、とキナは笑う。
春則が以前、どうしても甘えさせてしまう、と言っていたのを
繕はしみじみと感じていた。
同感だと思ったのだ。
繕は拒絶することなく、キナの腰に腕を回してやった。
さらに身体が密着したが、カウンターから見ている男はまだ
諦められないように気にしている。
「こういうことを他の男としていると、怒る男がいるんじゃなかったか」
キナの相手は弁護士をしていて、誰よりもキナを甘やかしていると
春則がぼやいていたのも覚えている。
キナは嬉しそうに笑って、
「いいの。だって犬養さん今いないもん。いないのが悪いんだよ」
だから違う男に助けてもらう。
キナはさらに甘えるように繕の膝に乗った。
さすがに跨いだわけではなく、横乗りだったが繕も突き放すでもなく
背中に手を添えてやったのに、カウンターから注がれていた視線は
ようやく離れていった。
「村瀬さん、髪触っていい?」
「構わないが、ぐしゃぐしゃにするなよ」
「乱れた村瀬さんも、色っぽいんだろうなー春則いいなー」
「俺に興味があるのか」
「村瀬さんは俺に興味ないの」
問いかけに質問で返すキナは、思ったより柔らかいと繕の髪を
梳きながら顔を寄せた。
少し顔を寄せるだけで、唇が触れる距離だ。
しかし繕は身体を少し離し、自分の内ポケットから煙草を取り出した。
咥えて火を付けながら、ゆっくりと紫煙を吐きだす。
「その気もないのに男の膝にのる子供に、興味はない」
「子供じゃないよ!」
即座に言い返したキナに、繕は口許を緩めて笑った。
それを目を瞬かせて見ていたキナの、冬だというのに大きく開いた
襟ぐりに顔を寄せ、細い鎖骨に歯を立ててやった。
「ん、あ・・・っ」
軽く吸って舐めると、キナが甘い声を零す。
啼かせてもいい声だな、と思ったが、繕はすぐ顔を離した。
「ガキだろ」
「もう! 子供じゃないってば!」
憤って見せるキナを膝の上で遊ばせて、繕は煙草を短くする方が
重要だというように紫煙を吐く。
しかしその唇が笑っているのに、キナは気付いていなかった。
この店では見えにくいかもしれないが、白い肌にははっきりと
繕の痕が残っているはずだ。
これを見たキナの男がどういう反応をするのか、そしてキナが
どうするのか、想像に難しくないと繕は笑ったのだ。

待ち合わせの男が呆れて2人を見下ろして来るまで、キナは
繕の上で甘え続けていた。



****

日曜日、倉敷でランデヴーがありました。
いつも一緒の旭陽くんと、久しぶりの羅夢.ちゃん。そして
初めまして、なうり.さんです。
楽しかったです。
沢山話しましたから! もっとしゃべり続けたいくらい
楽しく話しました! 初対面にも関わらず、私の相手を
してくれたうり.さんありがとう・・・
羅夢.ちゃんは本当久しぶりだった。お仕事もいろいろ
大変そうで、心配だけど、こうして会って和やかになるなら
もっとたくさん会いたい。今度は熊本だね!
そして慣れてしまってぞんざいな扱いになりがちの旭陽くん。
ちゃんと君のこともスキダヨ。ダイジョウブダヨ。

さて今回のSSは。
そのおしゃべりの折りに、出てきたシーン。
キナを好きだと言ってくれてありがとう!
そして繕と春則も愛してくれてありがとう!
なのでお礼をかねて。
やっぱり繕はキナが乗っても気にしませんでした(笑
そしてもちろん、最後に呆れて登場してきたのは春則さんです。
キナの気付かない繕の悪戯を見て、さらに呆れているんでしょう(笑

現実では来週私も忘年会です。
ぱーっと食べて飲んでしてきたいです。

 

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【2010/12/08 13:19 】 | SS | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
美しい女


美しい女だった。

美沙子は自分が美しいことをよく知っていた。

美しさゆえ見られることも慣れているし、褒め称えられることも慣れている。

美沙子にとって美しくあるということは生きるということだった。

美しくあれば誰より自由で、そして優雅に生きられた。


ホテルの二階にあるカフェに座っていた美沙子は、
その端から吹き抜けの一階ロビーに視線を落としていた。

様々な人間が出入りしている場所で、人目を引いている人間を見つけた。

着ているものはどこにでもあるようなグレイのスーツだ。

背は日本人の標準よりは高いが、どこにでもいるような男に見えた。

しかし見られていた。

見られている本人は、慣れているのかそれに気付いていないのか――
おそらく後者だと美沙子は思った。

普通の男であるはずなのに、注目を浴びているのはその美しさゆえだった。

確かに男にしか見えないはずなのに、同性でも息を飲むほど美しい。

慣れなければ見とれてしまうこともあるだろう。

待ち合わせをしているのか、男は何度か時計を確認して
出入り口のドアをただじっと見つめていた。

そのうちに、男は美しい顔を歪めるように表情を変えた。

喜んでいるのか、悲しんでいるのか、判断出来かねる顔だ。

自分で自分の気持ちがまとまっていないからそんな顔になるのだと、
美沙子は知っていた。

待ち合わせの相手が目の前に立ち、男は元通りの美しい顔に戻った。

しかし戻ったように見せているだけで、内心は不安と喜び、
そして戸惑いに揺れているのだろう。

待ち合わせていた相手はさらに背の高い男で、まだ若いようだ。

態度は落ち着いているものの、選んでいる服装もカジュアルなもので、
しかしそれがよく似合っていた。

おそらく、美しい男よりも自分に似合うものを知っているのだろう。

「馬鹿な子」

美沙子は細い指先に細いシガーを挟み、ゆっくりと紫煙を吐き出した。

呟いた声は艶の良い唇から零れる煙に混ざり、
聞き止めるものは誰もいなかっただろう。


美沙子は自分が美しいことを自慢して生きているわけではない。

ただ美しくあることを、隠すこともしなかっただけだ。

高いヒールに包まれた足先から、後ろでまとめ右肩にゆるく
流れる髪先、綺麗に整えられた指先まで、美沙子は全てが美しい。

光沢のあるワンピースは膝下までの長さがあったが、
脇のスリットは腰まで入っていた。

美沙子が優雅に足を組むと、どきりとしながらも思わず見てしまうほどだった。

肌は瑞々しく、黒子のひとつもその身体にはないように見えた。

若く見えるが、20代には見えない。

かといってそれ以上年を取っているようにも見えない。

年齢不詳の美しい女が、美沙子なのだ。

美沙子が出産経験があると言っても、やはり誰も信じないだろう。


せっかく美しく産んであげたのに、やっぱり不器用にしか生きられないの。


美沙子はロビーを見下ろし、美しく成長した男をただ見ていた。

子供を産んだとき、美沙子は子供が自分と同じようには
生きられないだろうと直感した。

不器用な父親のせいかもしれない。

不器用さゆえ、たった一度のセックスだったけれど、
美沙子は妊娠することをどこかで確信していた。

だから子供に、その人生そのものを予測して名前を付けた。

どうやら美沙子の予想は外れることなく、せっかくの美しさを
手にしながら不器用に生きているようだった。


「美沙子さん、お待たせ――何を見ているの?」

若い男が、上品なスーツに身を包み美沙子のテーブルに寄り、
その視線を一緒に追った。

「ああ、ロビーで僕も見たよ。とても綺麗な男性がいたんだ。
どこか――美沙子さんに似ていたような気がする」

「息子よ」

美しい唇からはっきり答えた美沙子に、相手はとても楽しいことを
聞いたというように笑った。

「面白い冗談だね。さぁ、そろそろ時間だよ」

上流階級に育ち、上等な男になるだろう相手は、しかし若かった。

美沙子があと何年かで半世紀生きているという事実も、
おそらく気付いていないだろう。

「馬鹿な子」

灰皿にシガーを押し付け、最後の紫煙を吐き出しながら呟いた言葉を、
今度は聞き取れなかったのか相手は首を傾げた。

美沙子はもう一度答える代わりに、手を取るように差し出し艶然と笑った。

それだけで相手は満足していた。


馬鹿な子。やっぱりそんな人生を歩むことになって。
精々その名前の通りに生きることね。


美沙子はそこで、初めて気付いたと何度か瞬いた。

それまで予想していたことを間違っているとは思わなかったが、
初めて違うことを思ったのだ。


それとも、そんな名前を付けたからそんな人生なのかしら――?

 



 

美しく散ることが、その総て

 

華開くときよりも、散るときが美しくあればいい

お前の名前の通りに――ミチル



*******


ええと。誰のお母さんか解かったでしょうかー?
これは連載直後くらいから考えてた小話です。
ようやく吐き出した感じだ。

日々いろんなことが起こります。
東の国から帰った私は、それに振り回されて
あっというまに時間が過ぎる。
あー時間を止めて~とか言いながら車で
かかってるのは笹川美和の「止めないで」

おうちのリビングにとうとうストーブが出ました。
エアコンよりましですが、暑すぎるのがどうも嫌。
あの温国で、どうしてうちの家族は平気で暮らすのかなー
自分の部屋にヒーターを入れようかどうしようか
悩み中なのでした。
愛用のちゃんちゃんこでまだ行ける気がする・・・つか
大丈夫だ。
ちゃんちゃんこは暖かいですよ!
(綿入れ推奨委員会代表)

【2010/11/29 12:24 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
東の国は日本なのか私の田舎が異国なのか


姉の家でまったりしてる私です。

いやー本当に、まったりしてます。
何をしてるわけでもないし、日々姪の相手をして
甥をだっこする。
遅寝して好きなような生活をしてます。
楽しいです。

いやもちろん!
それだけじゃないですよ!
日曜日、久しぶりに小夜子さんと透子さんとデート
でした!
あ。ついでに旭陽くんも一緒に。
まーデートっつうか・・・私が姪を連れて行くと
言ったので、小夜子さんもお嬢ちゃまを連れてきて
くださり、子供中心のお出かけになってしまったのですが。
幼稚園児に見えないくせに頭の中は幼児そのものの姪の
相手をするのに、正直あんまりみんなとおしゃべりが
できなかったんですが・・・でも旭陽くんがたくさんしゃべって
くれたと思いますので。
旭陽くんをいじることが楽しいとみんなに知ってもらえるのが
うれしい。いや楽しい。
今回はそんな会合でしたが、次回はうちの子豚さん抜きで
心ゆくまでおしゃべりさせてくださいな。

そしてその場所が渋谷だったんですが・・・
えーと、私、改めて言うまでもなく田舎もので。
待ち合わせから透子さんにお世話をかけっぱなしで。
いつもありがとうございます!
まぁ・・・東の地に下りた瞬間から私の方向音痴能力が
最大限に発揮!
つかいまだに理解できない。
どうして地下鉄の切符でJRの改札が通れる?!
おかげで・・・っおかげで私は!

・・・まぁいいや。それは。
渋谷にて、私初めてスクランブル交差点を通ったんですよ!
テレビでよく見るあそこですよね!
信号待ちをしてると、私と手を繋いだ姪が、
「・・・ぞろぞろいるねぇ」
「・・・うん。ぞろぞろいるね」
しみじみと感想を交わした。
すんごい。もう。気持ち悪いくらいの人だった。
いったいどこからこんなに人が?
どっかに沸いて出る土管とかおいてあんの?
これでも数年は大阪は梅田で暮らしたことのある私ですが。
いまやもう。
大阪もそして東京も無理だなーと思いました・・・
本日はお土産を買いにイクスピアリに行ったんですが
(姉宅は浦安市なので。リゾート地なのか下町なのか
わかんないとこです。相変わらず)
あまりの人にもう無理。と最初にやっぱり根をあげたのは私。
いいんです。
都会に来ても、引きこもって自分の好きな時間を過ごすのが
目的の旅行だったので。

はーしかしこの安らぎももう終わりです。
明日は田舎に帰ります。
忙しいけどやりがいのある仕事も出てきたことだし。
日常に戻りたいと思います。
お仕事も、止まってる書き物も。
がんばります!

 

【2010/11/23 22:29 】 | 日々精進 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
日々は電光石火

うちのトイレにはとある銀行のカレンダーが貼ってある。
六月の中頃、それを見ながら「もう半年かー早いなー」
と言ったのを覚えている。
そして昨日。
「もう11月かー・・・うえぇ?! 11月?!」
と驚いた。
いったい夏はいつの間に過ぎたのか。
私は半年何をしていたのか。
思い出せない・・・

子供のころ、1日がすごく長く、来年の話なんて
するととてつもなく遠い未来のことだと思ってた。
しかし今。
来年なんて明日と変わらないくらいすぐだ。すぐ。
これが大人時間というやつじゃろうか。
私はいつのまに子供時間から大人時間に
移動したんじゃろう。
頭の中身は子供のままです。
神さま、時間を戻してー
つか1日48時間希望。
一週間に2日くらいそんな日があってもいいと思う。
地球の自転よとまれ~~

そんなお願いをする私。
ひとつ大きくなりました。
見かけはまったく変わりませんが。
あ、髪を切りましたが。
耳が寒いので仕事用に耳当てを
買おうかなー自分への誕プレに。
・・・とかいいつつ、一年で一番金を遣うのが
この月。
自分へのプレゼントが多すぎです。
いいの。
パソコンは来年まで我慢するから(何台目だ)
300円くらいの耳当てはゆるしてー
月末に届くブーツもゆるしてー
ネットでついつい買った本も許してーてーてーーー

【2010/11/16 12:23 】 | 日々精進 | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
世の理


今年初めて霜の降りた今日。
姉が第三子を出産いたしました。
甥っ子の誕生です。
おめでとさん。
感想は、「きつかった」そうです。

早朝、陣痛が始まった、とメールが入り
それを受けて父が言いました。

「あれはきついぞー」と。

まるで経験したことがあるような言い草!!
生理痛も知らない父が言う言葉ではない。

しかしこれで心おきなく来週末に会いにゆけます。
小夜子さんと透子さんに・・・
そして新しい甥っ子に。
 

【2010/11/11 12:33 】 | 日々精進 | 有り難いご意見(3) | トラックバック()
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