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【2025/06/17 14:39 】 |
夢を喰う獣 2
GW中の練習は、合宿を入れて5日間となっていた。
初日にミーティングを含めた練習と、翌日から毎年恒例の
2泊3日の校内合宿。そして最後に合宿のまとめに半日の練習だ。
連休としては最後に1日残し、それを完全な休日にして終わる。
他の部活と比べると、濃密過ぎることもなく空き過ぎることもないものだ。
一番密度の濃いのは大所帯のバレー部で連休中はずっと合宿らしいが、
2人が卒業して新入生が3人入った新しいバスケ部では、3人のうち2人は
ほとんど初心者なのでやはりこれがベストの練習メニューだった。
貴弘は楽しくてならなかった。
1日中好きなだけボールを触っていられるし、帰る場所は夏流の家だ。
この連休に、兄夫婦は新婚旅行へ行っていた。
結婚して2年になる夫婦だが、両親が海外へ行っているためひとりになる
貴弘とも一緒に暮らし、故に旅行も常に貴弘が一緒だった。
二人きりになることがない兄たちに、貴弘が今回の旅行を勧めたのだ。
家にひとり残すことを兄夫婦は嫌うが、その間夏流のところに
泊めてもらうと言って押し切った。
見方を変えれば「彼氏の家に泊まるから気にしないで」と言ったようなもので、
兄は複雑な気持ちですぐには納得しなかったが、夏流という人間を
なんとなく理解していたので、押し切られる形で了承し
二人で初めての旅行へ行ったのだった。
充分汗を流し、翌日からの合宿の打ち合わせをしてから、
仲間内に「ご機嫌だな」とからかわれながらも貴弘は夏流の家へと急いだ。
慣れた手付きでエントランスのオートロックを解除し、エレベータに乗り込む。
合鍵で部屋のドアを開けてから、玄関に知らない靴があるのに気付いた。
真黒なバッシュはまだ日本で売られていないタイプで、貴弘はかっこいいなと
思いながら履き慣れた自分のスニーカーを脱ぐ。
「ただいま、夏琉―?」
お客さんが来ているのか、と思いながらもリビングに入ると、
そこに見知った顔があって思わず顔を綻ばせた。
「あ、洋平さん? こっちに帰ってたんだ?」
リビングに立ちつくしていたのは夏流の幼馴染でもあり、今は海外に生活の
拠点を置いている洋平で、それならあの靴も納得出来る、と貴弘は
久しぶりに気持ちを高揚させたのだが、貴弘を見つめ返した洋平は
苦いものを噛んだように複雑な顔だった。
「え・・・どうしたの?」
洋平の向こうに、ソファに座り腕を組む夏流がいた。
その顔は無表情で、この世の全てを憎んでいると
言っていいほどの不機嫌さを表していた。
整った綺麗な顔は、それを増長させるものにしかならない。
「寝起き? 夏琉、今まで寝てたの?」
しかし貴弘は少し首を傾げただけだ。
夏流の低血圧の、寝起きの不機嫌さにはもう慣れていた。
このときもそれだろうと、貴弘は予想を付けたのだが、
深く溜息を吐いた洋平と、今初めて貴弘を見た夏流の視線に、
身体が固まるほど動揺した。
寝起きの機嫌が悪いだけではない。
夏流の視線には、はっきりと知らない何かを切り捨てるようなものが
含まれていたのだ。


つづく

*****

本日はちょっくら鳥取へ言ってきました。
ネットで探してた鞄が、店を見てみたら鳥取駅前だったので
それなら現物を見て決めよう、と。
ネットで見つけたのは6千円くらいだったのに・・・
やっぱり実物は違う。
結局倍以上するものを。
でもよいものだった。
素敵だ。
長く使うから、まぁいいかな、と思う。

あと、先日腹を割ろうと思ってクリックしたものが・・・
思ってたのと違った。
残念。
でも30日間以内の返品が効くので!
変えっこしてもらおう。
これじゃないのがいい。
(本当に腹を割る気があるのか)

今私はドキドキしてます。
なぜなら!
とあるものを注文中だから!
それができるのがすんごく楽しみで!
だってこの鞄買ったのだって、それに合うようにだもんね!
楽しみだなー!

夏流と貴弘はこっから山に登ります。

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【2012/01/15 19:35 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
夢を喰う獣 1

5月に入り、全国的に連休になった初日。
空は晴れ渡り、気持ちの良い朝が始まった。
 
どこからか微かな振動と共に一定音が聴こえる。
深い眠りからゆっくり引きはがされるその感覚に、
意識なく眉根を寄せた。
肌触りの良いシーツから腕を出し、枕に伝わる振動を
辿ってそれを掴んだ。
アラームをかけていた携帯だ。
手にすると同時にフラップを開き音を止める。
少し身じろいで腕を突くように身体を起こし、貴弘はベッドに座った。
半分閉じた目で時間を確認すると、午前6時1分。
ひとりで起きたにしては上出来だ。
自宅ならいつまで寝ていても兄嫁が起こしに来てくれるので
安心して眠ったままでいるのだが、ここではそうはいかない。
なにしろ、広いベッドの隣にいる男は貴弘以上に寝穢いからだ。
貴弘はそれを放っておいてベッドを降りる。
トイレへ行き洗面所で顔を洗い歯を磨く。
ざっと服を着こんでキッチンテーブルの上にあったパンを
冷蔵庫の牛乳で流し込む。
ちょっと足りないと思うが仕方ない。すぐに食べられるものは
それしかないのだ。
そうしてもう一度寝室に戻ると、起きてからそれまで時間にすれば
10分しか経っていなかった。
経っていないが、寝室の中は何の変化もなかった。
彫像のように動かず、作りもののように美しい男は
確かめるまででもなく、眠り続けていた。
「今日、たぶん帰るの3時過ぎると思うから」
貴弘はそんなことも慣れていると、反応のない男に声をかけた。
「じゃあ行ってきます」
返事がないことも納得した上で、そう言い置いて
スポーツバッグを抱え背を向けた。
部活に向かうのだ。
ひとりで勝手に家を出て、オートロックが自動的に閉まっても、
寝室に変化はなかった。
傍でアラームが鳴ろうとも、人が起きようとも、声をかけてもまったく
起きる気配を見せない男――それが長瀬夏流という男だった。



つづく



*****

始めました! よ!
終わってないのに。
ようやく起承転結の転にかかろうか、というところなのに。
週一の連載でも許してもらいたい。
終わったら早く更新したい。
それまで皆様、夏流と貴弘をよろしくお願いします。

しかし、今モーレツに、40と30男のリーマンが書きたい・・・
高校生なんて書いてる場合か!
ていうくらい。
(夏流を高校生のくくりに入れていいのかはおいといて)
まぁちょっと我慢できず書いちゃいましたけど。
覚書、というふうには思えないほど第一話をがっつり。
これも、いつか更新したいです。
お披露目できる日がくるかな・・・

今年の私は一味違うぜ。
と、言えるように頑張ります。
いろいろと。

【2012/01/11 20:49 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
ナイトメア
真っ白な場所に、ふわりと現れた。
比喩ではなく、本当に浮くように突然現れたのだ。
夏流は目の前に立った人物を見て、少し考えた。
髪がまず、ひざ裏に届こうかというほど長い。
女に見えるが、身体のほとんどを覆うのはコートというよりマントだ。
それも埃にまみれた年代物だった。
その足元に見えるのは皮のブーツだ。
加工していない本物の皮のブーツは、古いという以前のものに見える。
つまり、現代の人間には見えなかったのだ。
そうして相手は畏まったように笑って口を開いた。
「初めまして、私はナイトメア。夢や記憶を食べる獣を退治するものです」
夏流は少しだけ目を眇めた。
言葉はないその微かな変化を、ナイトメアと名乗る少女
――幼い子供に見える――は見抜いて、両手を顔の前で振った。
「あ、あの、頭がおかしいわけじゃないです。変な宗教に入ってる
わけでもないです。そもそも、私はこの世界の人間じゃないんです」
真っ白な場所で、ナイトメアは真剣だ。
夏流はゆっくりと瞬いてその姿を見ていた。
そして、これは夢だな、とあっさりと判断する。
しかし夢だからといって、目の前の生き物の言っていることを
信じるかどうかは別だ。
「この世界に、ちょっと性質の悪い獣が潜り込んでしまって、
私はそれを捕まえるために来たんです。それで、あなたにお願いがあって、
こうしてあなたの夢の中にお邪魔しました」
夏流は一言もしゃべらず、相手が話すことをただ聞くままに流していた。
それで構わないのか、ナイトメアはさらに言葉を強くする。
「あなたの記憶が、とても極上で強い餌になるんです。
私はそれを貸してもらいたいんです」
「・・・なに?」
ここで初めて、夏流は口を開いた。
夢であっても理解を超えたのだ。
「その記憶を貸してもらえれば、きっとすぐに獣を捕まえることが出来ます」
力説するナイトメアに、夏流ははっきりと眉根を寄せて顔を顰めた。
「貸すということは、返して貰えるんだろうな」
「もちろんです! ちょっと数日、記憶がなくなってしまいますけど、
ちゃんとお返ししますから、そうしたら何も変わりはないですから
生活にも支障はありません」
数日記憶がなくなって支障がないとは思えないが、夏流は反論もなく聞いた。
「そしてそのお詫びに、何か一つだけ欲しいものを差し上げます」
「欲しいもの?」
「はい、何でも大丈夫です、おっしゃってください」
「それはどこかから盗ってくるのか?」
「いえ! 違いますよ、ちょっといろんなところに頼んで、最終的に
合理的にあなたの手に入るようにしむける――ようにするんです」
どうしむけるのか理解しかねたが、夏流はそれにははっきりと首を横へ振った。
「必要ない」
「えっ」
「欲しいものは自分で手に入れる」
きっぱりと断られたナイトメアが狼狽えた。
「え、えっと、あの、でも、お礼というか貸していただく代償なので・・・
ええと、じゃあ、あなたの大事な方の欲しいもの、とかでは?」
自分の欲しいものはきっぱりと断った夏流だが、そう言われて少し首を傾げた。
それにナイトメアはほっとしたように手を合わせた。
「お願いします、どうか貸してください!」
 
夏流がそれにどう答えたのかは――後日の話になる。



***

未来さんへ
ビリー隊長には・・・ついていく体力がもうないです。
寝転んでても腹を割りたいわがままな大人です。
もともと筋肉の塊だったので、別にいいかな、と
筋肉を取り戻してみることにしました!

昨日撮ったはじめてのおつかいを見ながら更新・・・
パピーマミーと一緒に見てます。
意外にパピーがはまっております。

【2012/01/09 19:21 】 | 夢を喰う獣 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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