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忌々しき噂を聞いた。
これが普通の人のことなら、何でもないと聞き流せただろう。
これが普通の王さまなら、そんな莫迦なと一蹴したろう。
でも私が仕える方は、こんなくだらない上に有り得ない噂でも
確かめなくてはならない方なのだ。 それが、私の王さまだ。
「王さま!」
執務室へ入ると、大人しく仕事をしていると思っていた王さまの
手元には沢山の折鶴が並べてあった。 きっと、どれが一番綺麗か考えていたのだろう。
一瞬目を細めるが、今はそんなことも些細な問題だ。
「王さま、40歳で王さまをやめるというのは本当ですか?!」
「どうして40歳なんだ?」
質問したのは私なのに、王さまは不思議そうに首を傾げた。
「私が訊きたいですよ!」
「まぁまぁあまり怒るな。ほらこれをあげよう。一番綺麗に折れた」
ひとつ手渡されると、私はとりあえず受け取ってしまう。
王さまから頂けるものは、何であれ嬉しくないはずはない。
しかしこんなことでは誤魔化されない。
「噂とは不思議なものだなぁ。どうして40歳なんだろう?」
呑気に言う王さまに、私はいくらか安心して、
「ただの噂なんですね?」
確認したかったのに、王さまはいつもの笑顔でおっしゃられたのだ。
「30歳でやめると言ったんだよ、私は」
私は今ここで、耳を落としてしまいたいというほど驚いた。
つづく。 PR |
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