忍者ブログ
  • 2025.05
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2025.07
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2025/06/17 19:06 】 |
王さまをやめる日 1

 


忌々しき噂を聞いた。
これが普通の人のことなら、何でもないと聞き流せただろう。
これが普通の王さまなら、そんな莫迦なと一蹴したろう。
でも私が仕える方は、こんなくだらない上に有り得ない噂でも
確かめなくてはならない方なのだ。
それが、私の王さまだ。
 
「王さま!」
執務室へ入ると、大人しく仕事をしていると思っていた王さまの
手元には沢山の折鶴が並べてあった。
きっと、どれが一番綺麗か考えていたのだろう。
一瞬目を細めるが、今はそんなことも些細な問題だ。
「王さま、40歳で王さまをやめるというのは本当ですか?!」
「どうして40歳なんだ?」
質問したのは私なのに、王さまは不思議そうに首を傾げた。
「私が訊きたいですよ!」
「まぁまぁあまり怒るな。ほらこれをあげよう。一番綺麗に折れた」
ひとつ手渡されると、私はとりあえず受け取ってしまう。
王さまから頂けるものは、何であれ嬉しくないはずはない。
しかしこんなことでは誤魔化されない。
「噂とは不思議なものだなぁ。どうして40歳なんだろう?」
呑気に言う王さまに、私はいくらか安心して、
「ただの噂なんですね?」
確認したかったのに、王さまはいつもの笑顔でおっしゃられたのだ。
「30歳でやめると言ったんだよ、私は」
私は今ここで、耳を落としてしまいたいというほど驚いた。


つづく。
PR
【2010/10/18 12:38 】 | 王さまをやめる日 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
<<王さまをやめる日 2 | ホーム | 無謀だったと気付くのはいつも後>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>