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【2025/06/17 19:41 】 |
王さまをやめる日 2


王さまは今29歳だ。

そして来月、盛大に30歳の生誕祝いを執り行う予定になっていた。
今からだともう1ヶ月もない。
王さまは私がお傍に上がってからいろいろと驚くことを
されてきたけれど、今日ほど驚いたことはない。
これを思うと3年前に「象を買ったぞ」といきなりそれに乗って
市中を回られたことや、2ヶ月前に後宮の庭園を園芸農地に
変えられたことなど、どうということもない気がした。

「さん・・・30歳っていうのは、ど、どうしてですか?! 
どうしてやめてしまわれるんですか?!」

王さまは初めてお会いしたときから王さまで、
きっと私が一生を終えるまで王さまなのだろうと思っていた。

誰かがやめろと言ったんだろうか?
いやしかし、王さまは誰かに言われたからといって頷くような方ではない。
何か嫌なことがあったんだろうか?
いやしかし、王さまは嫌なことは元々しない方だ。
私は真剣に考え込んだが、理由という理由が思い浮かばない。
しかし王さまは真面目な顔をした。
「王さまっていうのはね、毎日王さまなんだ。これが」
「・・・はい?」
「休みがないんだよ。つまり年中無休で王さまだ」
当然だった。
この国の王さまなのだから、王さまに休みがあるはずもないのだ。
いったい何を言い出すのかと思えば、私はこのところ多くなった
頭痛に顔を顰めながら、

「お言葉ですが王さま! 貴方が他の小姓をお寄せにならない
せいで、私も年中無休でお傍にお仕えしているんですが!」

私は王さまに仕えることが喜びなので、これといって苦痛なわけでは
ないのだが、こうも悩みが多いと本当に寝込んでしまいたくなってくる。

私の気持ちも知らずに、王さまはとても楽しそうに笑っておっしゃられた。
「だってお前に傍にいて欲しいんだよ」
こんなことを言うから、私は時々、本気で王さまを憎く思ってしまうのだ。



つづく

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【2010/10/21 12:31 】 | 王さまをやめる日 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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