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テロリストが王さまのことを知っているのは驚いたが、 私には別の気持ちで溢れかえっていた。 明日で王さまは王さまを辞める。 だからといって、王さまがこの世から いや、むしろ、王さまでなくなったらいなくなるというのなら、 「王さまは必要な方です。誰よりも必要な方です」 「誰にとって必要なのだ。王でなくなるのなら、 「この男がこの国を腐敗させたのだ。王だからな。 テロリストから次いで言われて、 「必要なんです! 生きていくために! 王さまでなくなっても、 この気持をどうしたら解かって貰えるのだろう。 王さまが王さまであることが大事なのではない。 私にとって誰よりも大事な方が、何より大切な王さまなのだ。 「銃を下してください。私に向けてください」 目が熱い。 泣いてなどいられないと思ったのに、感情が高ぶってしまっている。 王さまを見ると、銃を向けられているというのに 王さま、状況を解かっていらっしゃいますか? どうして殺されようとしているのに、そんなに嬉しそうなんですか。 「ほら、言ったとおりだろう? この子は私が貰って行くよ」 王さまは笑顔のまま、テロリストに話しかけた。 王さまに銃を向けていないテロリストが 肩を下ろし、お手上げだ、というようなポーズだ。 「まったく、こんな王のどこがいいんだお前は」 「すべてに決まっているじゃないか、ねぇ?」 テロリストと王さま、二人から言われたのは私だ。 いったい――どういうことだ? 私は変化した状況に、今度こそ頭がついて行かなかった。 つづく PR |
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