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【2025/06/17 18:44 】 |
王さまをやめる日 4

私が初めて王さまにお会いしたのは、
もう覚えていないくらい子供の頃のことだった。

私の母が、王さまの乳母だったのだ。

私には兄がいて、王さまと同い年の兄は王さまの
遊び相手として早くから王宮に住み、
私は時々母や兄に会いに王宮に来ていた。

そのときに、王さまと出会った。

王さまは私が行くと、いつも一緒に遊んでくれた。

時々会える王さまはいつも輝いて見え、
ずっと一緒に居られる兄がとても羨ましく思っていた。

兄はずっと王さまの傍にいて、お仕えするものだと
思っていたのだが、大人になったとき兄は商売を
始めると言って王宮を出て市内で暮らし始めた。

王さまの傍にいるのをやめるなんて、どうしてだろうと
私は考え込んだものだが、兄がやめたお陰で私が
今度はお傍に呼ばれたのだ。

それは私が13歳のとき。

王さまが20歳になられたときだった。


王さまのお父様がご病気で亡くなってしまわれた後、
王さまはとても早く王さまになられた。

まだ子供だったはずなのに、王さまは誰より王さまらしく、
戴冠式を離れた場所で見ていた私すら誇らしくなったものだ。

それからずっと王さまは誰より輝いていて、
そんな王さまにお仕え出来ると決まった日、
私はとても緊張してうまく話すことすら出来なかった。

まだ子供のままだった私に、王さまはとても優しく微笑んでくださった。

「私はお前の信頼を得るために、自分に誠実であろうと思う。
だからお前も私にずっと正直でいておくれ」

私は感激のあまり、泣いてしまった。

その言葉は、私の宝物であり、一生忘れないものになった。


つづく

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【2010/11/02 12:34 】 | 王さまをやめる日 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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