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【2025/06/17 15:19 】 |
我慢


視線が外せなくなった。

譲二の連れてきた女で、その譲二は紹介だけすると
どこかへ消えた。
春則は膝が触れそうな距離に座る女に、全てを集中させる
ほど向いていた。
女はレーコと言った。
譲二が名前を間違えることはないから、レイコではなくレーコ
なのだろう。
レーコは黒いワンピースを着て、黒い髪を左右の肩から胸へと
流していた。
輝かしいアクセサリーは何も付けていない。
細い腕に蜘蛛の糸のような細いブレスが絡まっているだけだ。
それが店内の間接照明に時折映って、光る。
唇は穏やかに笑んでいて、黒眼の大きな目が微笑んで春則を
見つめている。
ワンピースはノースリーブで、大きく開いているわけではない。
裾も膝が隠れるほどだ。
ただ、開いた胸元と、長く伸びる手、スカートのスリットから覗く
足が、どうしようもなく色気を醸し出していた。
それだけで、レーコは美しかった。
春則は適当な言葉を連ねて、レーコとの会話を楽しみながら
手がその細い腰に伸びるのを堪えていた。
なにかきっかけさえあれば、その美しい曲線を描く胸に
顔を埋めてしまいたいと思っていた。
しかし、春則は決して肌を触れさせることはなく、ただレーコを
見て楽しんでいた。
そのうちに、レーコが笑みを深くした。
「どうして?」
「なにが?」
「どうして、誘ってくれないの?」
レーコも春則を気に入ったようだった。
それは会話や、視線を見ればわかる。
春則が望めば、レーコはその手を取ってくれる。
春則の視線はそれを願っている。
しかし口にすることはない。
それをレーコが不思議に感じたのだ。
春則は面白くて仕方がないというように笑った。
「誘いたいよ。すっげ、誘いたい。抱き締めたい」
「そうなの?」
「そうだよ。でも、我慢してる」
そう、春則は我慢しているのだ。
「我慢してる自分が、面白くなってきたとこ」
どこまで我慢できるのか――それが、今楽しくて
仕方がない。
「なぜ?」
我慢しなければならないのか。
レーコが疑問に思うのも無理はない。
しかし、春則は笑うだけだ。
「なんでかな? でも、楽しくなっちゃってさ」
「そうなの」
困った子ね、とまるで小さな子を思うようにレーコが笑う。
春則はその返事に気を良くして、さらに甘えることにした。
「なぁ、俺を誘って? どこまで俺が我慢できるか、試して」
レーコは本当に駄目な子ね、と笑った。
「私が本気になっても、知らないわよ」
望むところだ。

こんなところをあいつが見たら、どうなるのか――

春則はそんな思いがよぎったが、レーコの手が
自分に伸びてきて打ち消された。
そして、我慢出来なくなったら、今度は春則がレーコを
紹介してやろう、とここにはいない男を思った。



****


先日より、なんか頭の中を回ってるシーンでした。
はー吐き出せてすっきり。
旭陽くん、和んでおくれ!

 

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【2011/03/24 12:53 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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