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「お前は洋平がいればいいんだろう。洋平といちゃついてればいいじゃないか」
あくまでからかう様子を隠さない紀一に、夏流は腕の中の貴弘を見下ろし、 「この男とやりたかったのか。俺は邪魔をしたのか」 低い声で言われ、慌てて貴弘は首を振った。 紀一と何かをしたいと思ったことはないし、しかも夏流の前でとは有り得ない。 「これはお前としたくないと言っている」 貴弘の意見を代弁した夏流に、紀一はソファに寛いだまま笑う。 「だからって夏流は関係ないだろう? 洋平も貴弘もなんて、欲張り過ぎじゃないか?」 「・・・・・」 即答できなかった夏流に、紀一がますます口端を上げる。 しかし、呆れた声で洋平がその間に割り込んだ。 「いい加減にしろよ、二人とも。俺も貴弘もものじゃない」 それに、夏流がはっきりと声を上げる。 「洋平は俺のだ」 その声に、貴弘はびくりと身体を固まらせた。 夏流の腕の中にいるのだ。それに夏流が気付かないはずもない。 断言された洋平はどこか寂しそうな顔で夏流に笑い、 「俺は夏流のじゃないよ。それはお前もよく知ってるだろ」 知らない、と夏流が言い返す前に、洋平はソファの紀一に立ち上がるよう促した。 「ここにいても仕方ないから、帰るよ。紀一も」 紀一は逆らうつもりはないのか、肩を竦めただけで身体を動かした。 帰る、と言われて素直に頷けないのは夏流だ。 どうして傍にいない、と怒る前に、洋平に腕の中を指される。 「夏流に必要なのは、俺じゃなく――貴弘だろ。思い出すかどうかは置いといて、 二人で話をしてみろよ」 何をどう話せばいいというのか。 それは言うことはなく、本当に洋平は紀一を連れて帰って行ってしまった。 取り残された二人は、しばらく無言だった。 とくに貴弘は、夏流の腕に引き寄せられたままで、動けないでいる。 夏流は貴弘を知らない。覚えてないというのに、しっかりと抱えられて、 どうすればいいのか解らないのだ。 どうしよう、と身動ぎしようとしたとき、夏流が動いた。 それまで紀一が占領していたソファに、引きずられるようにして座らされたのだ。 膝を突き合わせるようにして隣に座り、夏流が真正面からじっと貴弘を見つめてくる。 貴弘の何もかもを見通すような視線は、瞬きも少なく、 惹き付けられるような美しさは前とまったく変わらない夏流のままだった。 けれど、これ以上に居心地の悪い場所もない。 視線と一緒に、顔を背けたとき、夏流がようやく口を開いた。 「・・・どうしてこれなんだ」 そんなこと、こっちが聞きたい。 貴弘はずっと続いていた困惑の中から、ようやく一歩進んだように怒りを見出し、 強く夏流を睨んだ。 つづく ***** ようやく進みます。 ガンバレ夏流! マケルナ貴弘! あ、左の拍手劇場も夏流たちに変りました。 よければ、ぽちっとどうぞ。 この前晩ごはんのときにかかってたCMが、 すごくつまらなくて。 というかこんな宣伝いいの? 結構時間取ってるけどこれによく宣伝費出したね? というような中身だったので、 「ジャロに電話せな」 と言ったらマミィが噴き出すほど受けた。 相変わらず沸点の低い母です。 夏流たちが終わったら、次は不定期連載で 高校生ものを書きたいです。 夏流たちは本編でHPにアップする方を書いてるので、 いつか・・・書き終わったら更新するでしょう。 そして相方の都合にもよるわけですが。 ヨガに行ったり太極拳に行ったりぼけ封じに行ったり。 でも仕事は不規則で忙しかったりする相方ですが。 健康に気を使ってんのかどうなのか。 お互いもう無理は効かない身体です。 気をつけようぜ! PR |
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洋平に手を引かれるようにして夏流の部屋に戻った貴弘は、
部屋に入るなり足をぴたりと止めた。 リビングのソファで、寛いで待っていたのは夏流ではなく―― 「よお、久しぶりだな、貴弘」 目を細めて笑う、紀一だった。 貴弘が見上げるほどの身長で、ジャケットを着ればすらりとして見えるのに、 実際は流れるように動く肉体をもつ紀一は、貴弘は知らないが まさしく黒豹と称されるままの男だった。 「紀一さん? なんでここに?」 驚いたのは、何の用もないのに紀一がここにいることだ。 夏流が紀一を嫌っているのは、貴弘は言葉通りに、その身体で知っている。 「あー、別に呼んだつもりはないんだけど、夏流の状態を話したら面白がって」 貴弘を連れて帰った洋平が、ため息を吐きながら諦めた声で言った。 この家の主であるはずの夏流は、テリトリーを追いやられたように ダイニングのテーブルのほうへ座っていた。 帰ってきた洋平を見るなりその腕を掴み、抱き寄せる。 「洋平、どこへ行ってた。この男をなんで置いていく」 夏流の記憶が中学生だというのなら、もちろん紀一を知らないままだし、 得体の知れない大人であるはずだった。 夏流が紀一を嫌いなのは誰の目にも明らかな態度だったが、 今は警戒心もはっきりと見せていた。 洋平を傍に置いたのもそのせいだ。 「だから、お前をひとりにするのもダメだったから」 「じゃあお前がいればいい」 「そういう問題じゃなく!」 聞き分けのない子供に言い聞かせているようにも思えるが、 貴弘にはじゃれあっているようにも見える。 ここにきて、やはり夏流は貴弘を知らないままで、いったいどうすればいいんだ、 と貴弘が何も言えないでいると、ソファにいた紀一が手を取った。 「そんな顔するなよ、貴弘」 「え、え? そんな顔?」 無理やり隣に座らせて、細い肩を抱き込み腕におさめ、 紀一は人の悪い笑みを浮かべた。 「喰ってやりたくなる顔。夏流の頭がバカになったのは解ったけど、 洋平を俺も取られた。振られたもん同士、イイコトするか?」 体格の差ははっきりとしていて、抱き込まれてしまうと貴弘は本当に身動きが取れなかった。 顎を持ち上げられ、整った顔が近づく。 驚いたままで、抵抗することも忘れた貴弘がどうしたら、と困惑した瞬間、身体が浮いた。 どん、と何かにぶつかって止まった先は、今度は違う男の胸の中だった。 「・・・記憶がないんじゃなかったのか?」 からかうような紀一の低い声に、貴弘は自分が夏流の腕の中にいることに驚いた。 紀一はなんの抵抗もなく貴弘を離したが、貴弘を知らない夏流が、 貴弘を奪うようにして見せたのはどういうことだ、と混乱したのだ。 「知るか。お前の態度が気に入らない。人のうちで好き勝手するな」 紀一が口説こうとしているのが気に入らないのか、貴弘に手を出そうとしているのが 気に入らないのか、どちらかは解らなかったけれど、 貴弘は心臓を強く押されたように呼吸が苦しくなった。 つづく ***** まだ続きます。 でも書き終ったのでいっきに行きますよ。 今年は水都の年にしようかな。 これは5月の話じゃけど、とりあえず4月だ。 もう書きかけているけど、途中で止めっぱなし・・・ なのを書きたい。 夏流にライバル現る!じゃけど相手にされるのかどうか どうなのそこんところ?てゆうか脇役好きなので結構 脇役重点でそっちを詳しく書きたい。 てな話になると思います。 どぞよろしく |
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時間だけはいつものように流れて、あたりが夕刻の色になったころ、
初日のメニューを終えようとしていた。 貴弘はぼうっとしていたのは睡眠不足からもきていたのか、 気付けば体育館の床でほとんど寝て過ごしてようやく 顔を上げて意識を取り戻した。 まだはっきりと起きてないのか、眠そうに瞼をこする。 それを一気に覚醒させる声が、体育館に響いた。 「貴弘!」 両開きのドアの真ん中に仁王立ちで立って腕を組んだ男の、 体育館の端まで響くような声に、そこにいた全員が振り向いた。 仁王立ちでいたのはこの学校の生徒ではない。 はっきりと怒りを込めたオーラをまとっている男を、 バスケ部の2年生たちは知っていた。 春杉の先輩であり、夏流の幼馴染でもある、洋平だった。 夏流の傍にいるはずなのに、いったいどうしてこんなところに いるのだろう、と貴弘は覚醒した目を何度か瞬かせて近づく。 「どうしたの、洋平さん、夏流は――」 「どうしたの、じゃないだろ! お前何で家に誰もいないって 言わなかった?! おかげで昨日引き止められなかったじゃないか!」 「え、ええと・・・?」 状況は複雑だったと貴弘も思う。 洋平は記憶のない夏流で手一杯だし、貴弘を知らない夏流の家に 貴弘がいるのもおかしい。 貴弘はそう思ったのだが、洋平はそんなことは関係ないと言い切る。 「春杉から連絡もらって俺は本気で焦ったぞ。お前になんかあったら、 俺は夏流になんて言われるか――」 「な、なんで? だって、夏流は俺のこと、知らない――ままなんじゃ・・・?」 ならば貴弘の行動は理に適っていると思うのだか、洋平はそういう ことじゃない、と言い切る。 「夏流がボケたままならなおさらだろ。夏流が正気に戻ったときお前を ひとりにしたなんてバレたら、どんな嫌味を言われるか・・・」 洋平の言葉に、貴弘は目を丸くした。 夏流が正気に――つまり、失くした記憶を取り戻したときに、だ。 そんなこと、あるのだろうか? 確かに、貴弘には一時記憶が混乱したことがあって、運良くそれが直った。 それは本当に、運が良かった、と貴弘は今でも思っている。 あのまま、夏流を知らないままでいてもおかしくなかった、と今でも怖くなるのだ。 「治るに決まってるだろ。あの夏流だぞ?」 あっさりと洋平に言われて、貴弘は正直首を傾げる。 だが、洋平には治らない、という未来はまったくないらしい。 「今日一日病院言って調べてもらったけど、別に悪いとこはなかった。 健忘症っていうのか、記憶障害はなにかきっかけひとつで治ることが あるらしいから、放っておいても大丈夫だろ」 その自信はいったいどこから来るのか、貴弘には不思議だったのだが、 いつのまにか貴弘の後ろにいた仲間たちは心から頷いて同意していた。 「んでもって、お前を傍に置いといたほうが早く思い出すだろうから―― 連れて帰るけど、異存はないよな?」 貴弘ひとり、釈然としないままだったのだが、仲間たち全員でまた頷かれ、 貴弘は合宿1日目にして夏流の部屋に戻ることになってしまっていた。 つづく ***** まだまだ続きます。 ちょっと前より、腹を割ろうと頑張っている私ですが。 どうも・・・なかなか割れません。 割るのって難しいなぁ。 本日より、長渕剛が先日テレビでやってた タオルを使った腹筋をやってみようと思います。 続けばいいな、と思います。 ええ。 この前、友達Sにボードのブーツの向きを直してもらった んですが、その時に私の着ぶくれた腹を見て。 「腹が出たなお前」 と。 お前に言われたくないわ。 着ぶくれしてるんだよ! と言ってはみたが実際に腹を触って脂肪が! と・・・ そんなSも自分もやばい、と腹を出した。 「この前70を超えた」と言って、私がやばいなそれは、と 答え、さらに「私は60きてないよ」と言うと。 「当たり前じゃろが!」 と怒られた・・・ え。 まだ60きてないからのんびりしてたんだけども。 30歳超えると、女は下腹が出てくるもんだし。と。 のんきにしてたらだめだったらしい。 腹筋、頑張ります。 |
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楽しくてならないはずの部活だというのに、
貴弘は無気力に身体を動かしているだけだった。 同じように動いているように見えて、昨日までと 違うことは誰の目にも明らかだった。 「貴弘、どうした? 寝不足?」 「先輩に寝させてもらえなかったんじゃねーの」 心配そうに聞いた岡崎にかぶさるように、佐住がからかう。 この連休中、貴弘が夏流の家に泊まることは全員が知っていた。 貴弘は手にしたボールをじっと見つめた後で、 「・・・ううん、ちゃんと寝た。だって昨日は自分ちに帰ったし」 呟くような声は、しかしちゃんと全員に届いた。 「はぁ?!」 「ちょっと待て、だってお前今お兄さん旅行中だろ? ひとりだったのかよ」 仲間全員から詰め寄られる勢いで問われ、貴弘はただ頷く。 「なんで? ケンカでもしたのか」 でもケンカしても先輩が貴弘を放り出すとは考えられない、 と松島は心配そうに顔を覗き込んでくる。 貴弘はじっとボールを見たまま、少し考えて首を横に振った。 「ケンカ、じゃ・・・ないけど。夏流のとこにいる理由、ないから」 「どういう意味?」 聞かれて、貴弘は何と言っていいのか困惑した。 夏流が、貴弘を忘れた――一言でいえばそうなるのだが、 どうしてなのかは解らない。 貴弘は自分でもよく解ってない説明をして、それに質問をされて 答える形で、仲間に状況を理解してもらえた。 「つまり――先輩はお前のことじゃなくて、3年分の記憶がなくて、 たまたま日本にいた洋平さんが付き添ってる、てことだな?」 鹿内に要約されて、貴弘は頷いた。 「んで、理由は解らない、と」 佐住に念を押されて、もう一度頷く。 「先輩、階段から落ちでもしたん?」 そう聞いた岡崎は貴弘の前科を踏まえてのことだ。 「先輩が階段からって・・・猿が木から落ちるより難しい気がする」 複雑そうな顔で言った松島に、想像できなさそうな顔で 春杉が顔を傾けた。 「あ、んん? 階段から落ちたとか、いうんじゃないと思う・・・ 外傷はないって洋平さんが言ってたし」 貴弘は夜にフォローのつもりで洋平からもらったメールの中身を思い出す。 一晩、様子を見て、病院へ行くかどうか決める、と教えてもらってはいた。 「それで、家にひとりだったのか?」 問われて、貴弘は頷いた。 兄夫婦は旅行中なのだから、当然だった。 しかし状況を知れば、友人たちがそのまま部活を 続けさせることは許さなかった。 合宿所でひとり寝てこい、とは言われないが、体育館の隅で 横になっていろ、と言われる顔を貴弘はしていたのだが、 どこかぼうっとしたままの貴弘に自覚はない。 1年生を放っておいて部活を中断していたのに、その下級生たちも 状況を詳しく理解しないまでも貴弘を気遣うように見守ってくれている。 そんなに、自分はおかしいのだろうか。 貴弘は言われるままにタオルで顔を隠し、ひんやりとした床に転がった。 夏流が自分を覚えてない――知らない、と言われて、あんなに 冷たい目で見て、洋平にはびっくりするくらいの笑顔で話す。 あんな夏流は、貴弘も知らなかった。 なんだかうまく自分が機能していないような気はしていた。 しかし、何がどうおかしいのか、説明するのは難しかった。 つづく ***** いつまで続くのか・・・まだ続きます。 最初に結果報告。 去年の秋に受けた試験。 落ちました。 はーなんだかすっきり。 いや、悔しいけども、努力が足りないってことじゃね。 もう一回頑張ります。 はい。 そしていいことは、私の赤い子、帰ってきました。 台車は新しく、性能のよい子だとも思うけど、 やっぱり自分のが一番です。 これで雪道も凍てた道も全力で走ります! |
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