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【2025/08/22 02:45 】 |
W-D


「それで良かったのか?」

「あんた、本当に金しかださなかったくせに」

「俺が選んだものを尽く却下したのは誰だ」

「あのなあ、フルーツとか、生華とか、
んなもん誰だって贈れるだろ?」

しかも華とか、手渡しに意味があるんだぜ。

春則が呆れた口調になるのに、繕はまったく
気にしないように煙草を咥えるだけだ。

貰ったチョコレートのお返しに、と用意したのは春則が選んだ
カジュアルなアクセサリーで、繕からすると納得しかねるものだった。

「会社の義理チョコに返すんじゃないんだ。
個人なんだから相手のこと考えて選ぶのが普通だろ」

「そうか? ならどこかのブランド物のほうが良かったんじゃないのか」

「普段に! 使ってもらえるものにしたかったんだって」

ふうん、と適当な相槌を打つ相手に、春則はもういいと
先に会話を終わらせて買ったものを送る手配をした。

店を後にして、申し合わせたわけではないが
二人並んで歩くと、どうしても人目を引いてしまう。

しかしお互いに慣れたもので視線を堂々と受け止めて歩調を緩めない。

「似合うといいな」

ぽつりと繕が零した声に、春則はフォローのつもりかと苦笑した。

「趣味のいい人だから、どんなものでも使ってくれるよ」

「へぇ、ずいぶんかってるな」

「まぁね」

「そんなに仲が良かったか」

「――妬くなよ」

口端だけで笑うような春則の声に、繕は短くなった煙草を
携帯灰皿に押し込んだ。

「妬いて欲しかったのか?」

「あんたの嫉妬なんていらねぇよ。この間の据え膳だって食ったくせに」

「妬くな」

お返しとばかりに同じ言葉を返す繕に、春則はふんと呆れただけだ。
「仕事は」
前方に駅が見えて、平坦な声で訊いた。
「来週からNY」
「あんたも大変だな、この時期に」
「別に」
繕は前方を見たままで、平坦な声で返す。
「どんな時だろうと、目の前にある仕事をこなすだけだ」
その答えを、春則は知っていて、やっぱりなと肩を竦めた。
「じゃあまぁ、今日は帰るか」
「用事はこれだけか?」
「これだけ。あとは無事着くように祈ってろ」
「なんに祈るんだ」
訊き返されて、春則は答えを探した。
なんに祈るのだろう。
当然のことながら、神や仏をこの男が信じているとは思えない。
誰かに頼るとも思えない。
暫く考えたが、出てきた答えは無難なものになった。
「・・・運に、かな?」
繕は駅の敷地内に入ったことで、もういいだろうと何かに
許可を得て煙草を咥えた。
火を付けてその紫煙が風に乗るのを追いながら、低く呟いた。
「・・・運か」
「そう、運だ」
春則は改めて納得したように、もう一度言った。
「運だけで生きれる奴はいないが、運なくしてなにかを
成し遂げることも出来ないってさ」
自分で名言だ、と呟きながら駅への流れに乗る春則を追いながら
繕もその波に呑まれていく。
「誰の言葉だ?」
「さーどっかで聞いたか読んだか・・・とりあえず、世界のどこかの
エライ人の言葉」
「まったくありがたみのない言葉だな」
「うるさい」
二人のいつもの会話も、そのうちに波に消えていった。



****


無事!
WDのお返しが届いたようでなによりでした、透子さん!
もっと時間がかかるかと思ったけど、結構長い間
箱の中に入ってたからお花が潰れてなかったかしら・・・
それが心配。

あ、それから。
旭陽くんは、透子さんに呆れられてないと思っていたそうです。
私も旭陽くんは好きですが。かわいいと思ってますが。
あの子と長く付き合っていると、絶対に、呆れてしまうことに
なるんですよ・・・いや、本当に。
悪い子じゃないよ。
悪い子じゃないけど、世の中自分が思った通りに回ってくれない
なんて言うあたりとっても不思議な子です。
また、叱ってあげてくれませんかー
私はもう諦めました。
あの子、まだ私になんにも送ってないんですよ!(笑
と、ここにバラす。
くれなきゃ返せないじゃんねー

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【2011/03/28 12:34 】 | SS | 有り難いご意見(3) | トラックバック()
誘惑


不思議な女だった。

目の前に現れて、当然のように隣のスツールに座る女は
レーコと名乗った。
身体のラインを強調するというより、美しく見せるワンピースと
袖には通さず薄いカーディガンを肩に羽織っていて、
その細さがより強調されていた。
真っ黒な髪が両肩から前に流れ落ちていて、大きな黒眼の目が
じっと意味ありげに見つめてくる。
魅力的ではあるが、どこかひっかかるものを繕は感じ取っていた。
最初は、どこかからかうような視線で隣に座ったのだ。
それから何度か確認するように繕を見て、話しているうちに
瞬きが回数を重ねるうちに、その意味が変わっていくのを感じた。
不思議そうなものになり、それから熱を帯びたものになり、
最後にどこか拗ねたような微かな怒りを感じる。
気をつけているつもりでも、時折その唇がつんと尖る。
それは食べてと強請っているようにも見えて、繕はレーコの
意味を考えながら、考えていても仕方がないと口を開いた。
「どうした?」
「ひどいわ」
繕が訊いたことで、レーコは不機嫌なことを隠さず素直に
落胆したように目を伏せた。
伏せた目元も綺麗だった。
思わず伸びそうになる手を押えて、繕は理由を訊く。
「何が」
「こんな素敵なひとだなんて、聞いてないわ」
「・・・誰が」
やはり何か目的があって繕に近づいたのだとは分かっても
その目的が分からない。
「貴方がよ。とっても悪い男だから、からかって遊んでやってって、
頼まれたのよ」
「・・・誰に」
「春則くんよ」
繕は深く息を吐いて、今はどこかでこの状況を思いながら
笑っているだろう男を思い浮かべて内心舌打ちをした。
しかし改めてレーコを見ると、いい女にしか見えない。
繕はそれなら、とすぐに気持ちを切り替えた。
「春則は、どうだった?」
覗き込むように見つめると、レーコはにっこりと笑った。
「素敵だったわよ」
「俺よりもか」
レーコはまっすぐに繕を見つめて、煌めいた目を瞬かせた。
「選べないわ」
「そうか?」
繕は留まっていた手を、今度は止めることなくその顔に近づけた。
右側の髪を顔に沿ってかき上げ、耳に掛けた。
想像した通り、顎のラインが綺麗だった。
白い耳たぶは柔らかく、何も付いていないことが指触りも良い。
繕のされるままになっているレーコは、指が首筋を撫でるように
すると色が見えるような吐息を吐く。
「本当に?」
レーコの返事を待たず、繕はそこに顔を寄せた。
「つまり俺は――誘っていいんだな?」
耳に直接声をかけると、レーコは擽ったそうに目を細め、少し肩を寄せる。
しかし間近にある繕の目を見つめて、
「誘ってくれるの?」
「誘わない理由はない」
「春則くんは、我慢してたのよ」
最初は、とレーコは何かを思い出したのか笑った。
繕は少し呆れた顔をしたが、すぐに口端を上げる。
「なんだ。じゃあ、俺も我慢すれば良かったかな」
レーコが誘ってくれるなら、と含ませると、レーコは笑った。
「私、貴方には誘惑されたいわ」
まるで誘っているように、妖艶な笑みだった。
繕はその腰に手を伸ばし、柔らかさを確かめて引き寄せた。
「本気にさせるなよ」
繕の腕におとなしく納まりながら、レーコは面白そうに笑った。
「貴方も春則くんも、ひどいひとね」
「ひどい男は嫌いか」
レーコは答えず、ただ微笑んだ。

据膳食わぬは――って言うだろ

繕は悪戯をしかけた男を思い出しながら、そのまま乗って
やることにした。
この結果を教えてやるときを、また覚えていろと色悪に
笑った笑みはレーコには見えなかった。



*****

うーん、やっぱりこの人たちはセットで書かなきゃな、と。
つーかこのレーコ。
すんげーいい女だと思うんだけど・・・譲二はどっから
こんな女と知り合いになるんだ、と(笑
旭陽くん、今度はむきゅーっとなってください。
和めない? テンション上げていこうぜ!
 

【2011/03/25 08:23 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
我慢


視線が外せなくなった。

譲二の連れてきた女で、その譲二は紹介だけすると
どこかへ消えた。
春則は膝が触れそうな距離に座る女に、全てを集中させる
ほど向いていた。
女はレーコと言った。
譲二が名前を間違えることはないから、レイコではなくレーコ
なのだろう。
レーコは黒いワンピースを着て、黒い髪を左右の肩から胸へと
流していた。
輝かしいアクセサリーは何も付けていない。
細い腕に蜘蛛の糸のような細いブレスが絡まっているだけだ。
それが店内の間接照明に時折映って、光る。
唇は穏やかに笑んでいて、黒眼の大きな目が微笑んで春則を
見つめている。
ワンピースはノースリーブで、大きく開いているわけではない。
裾も膝が隠れるほどだ。
ただ、開いた胸元と、長く伸びる手、スカートのスリットから覗く
足が、どうしようもなく色気を醸し出していた。
それだけで、レーコは美しかった。
春則は適当な言葉を連ねて、レーコとの会話を楽しみながら
手がその細い腰に伸びるのを堪えていた。
なにかきっかけさえあれば、その美しい曲線を描く胸に
顔を埋めてしまいたいと思っていた。
しかし、春則は決して肌を触れさせることはなく、ただレーコを
見て楽しんでいた。
そのうちに、レーコが笑みを深くした。
「どうして?」
「なにが?」
「どうして、誘ってくれないの?」
レーコも春則を気に入ったようだった。
それは会話や、視線を見ればわかる。
春則が望めば、レーコはその手を取ってくれる。
春則の視線はそれを願っている。
しかし口にすることはない。
それをレーコが不思議に感じたのだ。
春則は面白くて仕方がないというように笑った。
「誘いたいよ。すっげ、誘いたい。抱き締めたい」
「そうなの?」
「そうだよ。でも、我慢してる」
そう、春則は我慢しているのだ。
「我慢してる自分が、面白くなってきたとこ」
どこまで我慢できるのか――それが、今楽しくて
仕方がない。
「なぜ?」
我慢しなければならないのか。
レーコが疑問に思うのも無理はない。
しかし、春則は笑うだけだ。
「なんでかな? でも、楽しくなっちゃってさ」
「そうなの」
困った子ね、とまるで小さな子を思うようにレーコが笑う。
春則はその返事に気を良くして、さらに甘えることにした。
「なぁ、俺を誘って? どこまで俺が我慢できるか、試して」
レーコは本当に駄目な子ね、と笑った。
「私が本気になっても、知らないわよ」
望むところだ。

こんなところをあいつが見たら、どうなるのか――

春則はそんな思いがよぎったが、レーコの手が
自分に伸びてきて打ち消された。
そして、我慢出来なくなったら、今度は春則がレーコを
紹介してやろう、とここにはいない男を思った。



****


先日より、なんか頭の中を回ってるシーンでした。
はー吐き出せてすっきり。
旭陽くん、和んでおくれ!

 

【2011/03/24 12:53 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
氷山ハンター


 初っ端からひきつける小説だったけれど、
 主人公石澤の言葉に心臓を打ち抜かれた・・・

 氷しか撃たない?
 私の心を撃っておいて!!

 ご紹介するのは 五條瑛 「熱氷」

 あらすじ
  姉弟として育てられた朱音の突然の訃報を、氷山ハンター
  石澤恒星はカナダ沖の氷山採取船で聞く。帰国後、朱音の
  遺児・光晴と心を通わせるが、光晴は誘拐されてしまう。
  石澤に、総理を狙うテロリストは、解放の条件として「仕事」を
  課した。

 私を撃ち抜いた言葉がこちらだ。
 物語の最後、友人(てゆうかなんていうかー)滑川とのシーンだ。


 直撃だった。舵を失った小さなモーターボートはコンテナに
 押し込まれるような格好で、夜の海に消えていく。
 一瞬だった。
 「お見事」
 滑川の声で、石澤ははっと我に返った。
 すでに滑川は撤収の用意をしている。懐中電灯を外し、双眼鏡を
 バッグに放り込んでいた。「フランシスから噂は聞いていたが、
 いい腕だ」
 滑川は石澤に対し、ウインクを一つした。
 「お前に誉められると気味が悪い」
 「そう喜ぶな。ただし、やっぱりあんたは人を撃つのには向いてない」
 「それでいいんだ」
 石澤は真っ黒い海を見つめた。

 
「――俺は人は撃たない。氷山しか撃てないんだ」


 なんて!
 目眩がしそう・・・いや、脳みそ揺れてる?
 クラクラする石澤に、皆様会っていただきたい。
 あ、脇役メンバーにもクラクラです。
 滑川もスキダー!



 と、突然始めましたが、旭陽くんとの電話で
 私が読んできたもので、私の心臓を撃ち抜いてくれた
 名言集を集めてみようと思った。
 集めてみることにした。
 とりあえず最初に、話題に上がったので「熱氷」
 嵌るよ、五條瑛!
 

【2011/03/20 23:12 】 | 名言大全 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
節電


まず、被害にあわれたかたへ心から
お見舞申し上げます。

こっちはまったく、揺れもせず気付かず、
大きな地震があったことなど知らないまま
仕事中でした。
教えてくれたのは姉の友人で姉を心配してくれる
電話でした。
慌てて目の前のネットで確認。
事務所のテレビで確認。
なんじゃこりゃー!
てなって慌てて姉に連絡。
するも繋がるはずもなく。
奇跡的に一度だけ母と姉の携帯が繋がり、
どうにか無事を確認。
その後は時間差でメールも出来るようになって
少しほっとした金曜日でした。

姉は浦安在住で、今は無事なようですが、
引っ越したばかりのおうちはもろに埋立地ですよ。
東京リゾートの駐車場の液状化はニュースにも
なってるようですが、つまりおんなじ埋立地。
家はどうにか無事ですが、この先地面がどうなの。
と写メを送ってもらいましたが一番心配なところ。

その他の心配な人たちにもメールを送り、時間差でも
返事が返ってきたことにほっとしました。
(てゆうか透子さんが3時間かけて家に帰ったって
知ってびっくりです。3時間て! それでも無事帰れて
良かった・・・)

日本は縦に長い国ですが、本当に東と西でこんだけ
違うのか、と改めて驚きます。
安全な場所にいる私たちに、何ができるのか、と
言うと、昨日知り合いからメールが回ってきまして。
「節電」
ということでした。
言われてみればそうだ。
少しでも向こうに必要なものを送ってあげたいとは
誰もが思うもの。
とりあえず、私も節電しようと、夜のお勉強を切り上げて
寝てみることにしました。
人のため人のため。
うん。

とかいいつつ、本日は動力をおもっきし動かしての
お仕事なんですが。
何か他に出来ること、少しづつ探したいと思います。

旭陽くん、従姉妹の親子喧嘩に巻き込まれてる場合じゃ
ないのよ。
 

【2011/03/13 13:37 】 | 日々精進 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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