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【2025/08/21 04:40 】 |
嶋 浩次のウワサ
「嶋さん、お茶です」
「ん――ああ、ありがとう」
外回りから帰ってきた嶋にお茶を出す新入社員は傍目に見ても
解かるほど緊張していた。
帰ってきてすぐパソコンに向かっていたが、声をかけてくれた相手には
ちゃんと顔を向けてお礼を言う。
それだけで緊張していた彼女は真っ赤になって慌てて頭を下げ、
逃げるように給湯室へ走り込んだ。
「おかえり、って、そんな緊張することじゃないでしょ。お茶出しくらい」
先輩には呆れられるが、これが緊張しないでいられるだろうか。
少しクセのある明るい色の髪は、どうやら天然のものらしい。
切れ長の目は二重でくっきりとしていて、すっと通った鼻筋も形の良い唇も、
姿勢が良いので吊るしのスーツを着ていてもモデルにしか見えない。
それでいて人当たりもよく仕事も出来るとなれば、間違いなく彼はこの社で
一番の人気ものだ。
それが嶋 浩次という男だった。
「無理っ無理ですっだって目が合っちゃったんですよっ」
これが緊張しないでいられるだろうか、と顔を真っ赤にする後輩に、
先輩も確かにね、と頷く。
「あんな美形に声をかけられたら理性なんて飛んじゃうわよね」
「嶋さんになら遊ばれてもいいって思うもんね」
「あ、遊び、遊びって――うう、でも、付き合ったりとか無理ですけど、
遊ばれてみたい――」
いったいどんな夢のような世界に行けるのだろう。
すでに夢の世界に飛んで行ってしまっている後輩に、先輩は苦笑して
引き戻すことにした。
「あのね、あの人って、この社内で告白され率NO1だけど、
振られ率もNO1なのよ?」
「・・・えええっ」
何でですかどうしてですかあんな人を振るなんてどうかしてますよ!
勢いで咬みつくように答えた後輩に、やはり笑うしかない。
「だって・・・ねぇ」
「ねぇ、なんかすっごく、外見裏切ってるのよねーあの人も」
遊ばれたい。遊びたい。
現実的なことなど考えたくない。
そう願って付き合うのに、嶋は至って普通――よりもとても、
真面目な男だった。
一夜限りの夢では終わらず、一線を越えてしまったからには責任を取る
――そんなことを言われては、現実が目の前に突き刺さる。
ハーレクインの世界から、一気に昼ドラに落ちていく感じだ。
夢のまま覚めなければ良かったのに、現実を見れば嶋という男と
一緒にいる自分の存在のなんとみすぼらしいことか――とてもじゃないが、
並び立つ勇気も度胸もない。
さらに現実を見た生活感溢れる会話をされると、興も覚める。
「あ、ほら、加村さんが話しかけてるわよ」
先輩に促されて、すぐにフロアに視線を戻すと、嶋の隣に座って
加村が話しかけているところだった。
この会社で1、2を争う人気者の二人だ。
思わず、耳を大きくしてしまうのは仕方がない。
 
「嶋、今日飲みに行かないか」
「んー悪い、パス。今日中にこの書類作ってしまいたいんだ」
「なんだよ付き合い悪いなー、せっかく可愛い子のいる店見つけたのに」
「・・・お前な、付き合ってるやついるんだろ、振られるぞ、
んなことばっかりやってると」
「その時はその時だよ。それより、可愛い顔ですっごい巨乳なんだよ。
見ないと人生損するぞ?」
「そんな損、したって構わない」
「お前やっぱり、その顔もったいないよなぁ。もっと有効利用しろよ」
「してるよ、もう充分だ」
「充分遊んでるって? 言うね」
「・・・もうお前、向こう行け」
 
嶋浩次と加村輝司。
名前は同じ読み方なのにこんなにも正反対なんて、不思議よね。
先輩の言葉に、後輩も何度も頷いた。
いったいどんな遺伝子配列を間違えて、こんな風になったんだろう。
「付き合う付き合わないとかっていうと、すっごく格好いい二人なんだけど、
でもねって躊躇っちゃうんだけど・・・」
「こうして見るだけならね」
「やっぱり眼福よねー」
先輩たちの言葉に、後輩も壊れるほど何度も頷いた。
眼福だ。
どんな会話がされていようとも、格好いい二人が並ぶとこの上なく幸せだ。
 
彼女たちのウワサはこれからも続いていくのだった。
 


*****

続きを書いてみました。
コウジはコウジでもこうも違うと面白いものです。
その二人がいろんなことしちゃうとなればさらにおもろいものです。
うむ。

この週末、新しい本棚を購入。
愚弟の部屋のひとつに私の本を3分の2ほど移動しました。
はー
結構な労働です。
移動先が2階だったもんだからとくに。
この移動については・・・いろいろあるんですが、
話すとすんごく不愉快なことも話さなければならないので
もっと落ち着いてしまってからに。

しかし移動したときは、新しく本棚も買ったりして
結構棚に余裕があるのに、どうしていつもいっぱいになって
溢れてしまうのか・・・
買った本を全部残してるわけじゃないのになぁ。
不思議だ。

そういえば、年末年始のボード旅行。
今週くらいに申し込みしようと思います。
どなたかいらっしゃいましたらその時までに。
初対面でも大丈夫だと。
楽しいオフ会程度のつもりでご参加ください。
まーずっと私滑ってますけど!

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【2011/11/13 18:51 】 | たとえばこんな日常恋愛 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
加村 輝司のウワサ
「あっ加村さん、帰ってる――あの、私お茶持って行っていいですか?」
営業部の給湯室からそっとフロアを覗いた今年入ったばかりの女子社員が、
目当ての相手を見つけたのか嬉しそうに言った。
受けたのは指導に当たっている先輩社員で、そこにたまたま一緒にいた
同僚たちと驚いたように目を瞬かせて見合わせた。
「えっと、やっぱり、ダメですよね・・・」
好きな人に気持ちを隠すことなくアピールするのはいいが、ここは会社だ。
先輩を差し置いて、そんなこと許されるはずもない――と俯いたのだが、
先輩たちの反応は違った。
「ダメじゃないけど、貴方加村さんが好きだったの?」
どこがいいの? と問うような口調だったので、俯いた新入社員は
顔を輝かせて語った。
「だって加村さんって、なんか地味だなーって最初思ったんですけど、
よく見てるとなんかドキドキする色気があるっていうか、大人の男の人って
こういうのかなって思って、それに仕事も出来るし――」
キラキラ輝く目は夢を見ている。
先輩たちは口にしなくても同じ感想を抱いた。
確かに、加村輝司という男はモテる。
一見、本当に地味に見える。髪は一度も加工していないような黒髪で、
柔らかそうでセットしているのだろうが、サラリと流しているだけだ。
目鼻立ちもはっきりしているわけではないが、一重の目はすっきりとしていて
爽やかさを感じる。
唇はいつも微笑んでいて、誰かと視線が合うと必ず愛想よく答えている。
いつも黒いスーツを着ているが、地味に見えるシャツやネクタイはよく見れば
かなり選んでいる洒落ものだった。
「仕事が出来るっていうか――あの人は、上手いのよねぇ」
「上手い?」
先輩の言っていることに首を傾げると、フロアの中を指さされた。
「ほら、ちょうどいいタイミング。あの会話聞いてみたら?」
「えっ」
促されて、悪いとは思いつつも彼女はフロアの会話に耳をそばだてた。
 
「佐藤さん、丁度良かった――あのさ、今日の打ち合わせの書類、
まとめてくれないかなぁ? 明日までに」
「え――私がですか? そんなこと言われても私じゃ・・・」
「だって俺がするより、佐藤さんがまとめてくれたほうがすごく
解りやすいんだよね――早いし丁寧だし、もうほかの人には頼めないよ」
「・・・もう、今回だけですよっ?」
「ありがとう、本当、佐藤さんって優しいなぁ美人だし、もう言うことないよね」
 
「解かった?」
一連の会話を聞いた後で、先輩に確かめられて、新入社員は
複雑そうな顔をしていた。
「ええと、あれは、つまり」
「仕事は出来るんだけど、すっごく要領いいのよ、あの人」
「そうそう、あんなふうに頼まれたら断れないのよねー」
「乗せられてるって解っててもついつい受けちゃうの」
「格好いいってみんな知ってるけど、恋愛対象には入らないのよね」
「えっどうしてですか?」
「加村さんが入社してきたときの歓迎会、あれはもう伝説よ」
伝説?
びっくりした後輩に、先輩は面白く話してくれた。
 
地味に見えても、社交的で明るい加村は一気にその場で
人気を惹きつけていた。
隣に座っていた女性社員が、明らかに狙っている態度を隠さず、
付き合っている人がいるかどうかを聞いたのだが、
「今? 今は彼氏かな」
あっさりと答えらて、質問したほうも一瞬聞き間違いかと驚いたが、
加村の態度は至って普通だ。
「え・・・えっと、ホモの人? 加村さんって――」
「いや、別に。男だけが好きってわけじゃないよ。どっちでも気にしないだけで」
やっぱり明るく答えられて、聞き耳を立てている周囲もどう
反応していいのか解らない。
質問した相手だけはそれでも、ここで引き下がれないのか
表面上だけの笑顔を見せた。
「男の人もって、じゃあ、この課の男の人みんな対象なんですかぁ?」
「あのね、君は好き嫌いないの? 俺だって好みってもんがあるんだよ?」
加村の返答と笑みは、笑顔の相手を凍らせるようなものだった。
「じゃ、じゃあ、どんな人が好みなんですか?」
狼狽えるように質問を繰り返すことに、加村はその場の誰より爽やかに、答えた。
「俺を好きって言ってくれる子」
来る者拒まず去る者追わず――完全な博愛主義。
加村の評判は一気に広まった。
 
「そ・・・そんな人なんですか・・・あんなに優しそうなのにー」
新入社員の目は涙目で、フロアにいる加村に未練がましい視線を向ける。
「優しいか優しくないって言ったら、優しいんだけどねー」
「そうよね、加村さんに一度でもエスコートされたら男を好きだろうとほかに
彼女がいようと構わないって思っちゃうらしいけどね」
でも、そんな人だ。
営業部で人気があることだけは、確かだ。
先輩はしょんぼりとした後輩に慰めるように肩をたたいた。
「貴方も最初に加村さんに目を付けるなんてマニアックねー」
「格好いい人なら嶋さんも負けないと思うけどね」
「あー嶋さんは・・・格好良すぎるっていうか、もう私なんか夢も見れないっていうか」
「まぁね、その辺のモデルより格好いいものねー」
「ですよね! もう毎日姿を見れるだけで眼福ですっ」
「あはは、でも嶋さんもね、話すとさぁ・・・」
 
彼女たちのウワサ話はまだまだ終わりそうになかった。


*****

思い出したかのようにWコウジの更新です。
もうひとりのコウジも続きます。

あー今食べたとんかつきつい・・・
気持ち悪いよ・・・お肉が受け付けない身体になったのは
いつからじゃろう?
・・・結構前からですけど。
30超えたあたりから生ものもあんまり受け付けないように。
野菜を食べて生きよう。

年末年始、ボード旅行に行くことにしました!
白馬に!
一緒に行ける人募集中。
とりあえず、旭陽くんは連れて行きます。

【2011/11/10 20:29 】 | たとえばこんな日常恋愛 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
とっても、おいしい
「海ちゃん、青汁飲む?」
「・・・・はい?」
驚いた、というより、すっごく訝しんですっごく苦そうな顔をした海の顔に、
深津はそうだよね、と心の中で納得していた。
自分で言っててもなんだかそんな顔になりそうだ。
「青汁」といえば、「健康に良い」ってイメージで、でもそれと同じくらいか
――それを追い越すくらいに、「まずい」ってイメージが付きまとうものだ。
深津は粉の入ったスティックを振りながら、海に現物を見せた。
「美容と健康にいいみたいなんだよ。――ううん、みたいっていうか、
いいんだよね、本当に」
身体に良いものを飲んでいるのだから、いいはずだ。
だけど、美味しくない。
その一言で全てが霧散するというか、台無しになっているというか。
深津は複雑そうに、こちらを覗っている海に苦笑する。
「これ、まずくないんだ。美味しい青汁なんだよ。――本当に」
言った言葉に嘘はないが、なんとなく最後に一言
付け加えてしまうのはなぜだろう。
海も少し思い当ったのか、首を傾げて深津の手を見る。
「あー最近、なんか聞きますね。そういうのが出たって。
飲みやすくなってるんでしょう?」
「うん。飲みやすい。これなら毎日飲めるんじゃないかな」
「うーーーーん。でも・・・青汁なんですよね?」
美味しくても青汁。
それが海が躊躇するところらしい。
「昔、おばあちゃんに飲まされたことがあるんですよー青汁。
もうそれが、まずいのまずくないのってレベルじゃないくらいまずくて!
もう人として口にしていいものと悪いものがあるでしょう?! てくらいで」
どうやら海はその味が忘れられないらしい。
深津は納得しつつも、手早くコップに青汁を作ってみた。
「僕もあんまり好きじゃなかったんだよ。美味しいからって言われても
信じられないというか信じたくないっていうか・・・でも、
一度飲めちゃうとこれがあっさりと」
人間って不思議だよね、と笑うと海は少し深津の手にある
緑色の液体に興味を見せた。
「深津センセってば、こういう健康ドリンクとか、好きでしたっけ?」
「ううん。特に興味はなかったんだけど――航さんが」
「ええっこーたろさんってばあんな顔で健康オタク?!」
「違います!! ――ていうか、顔は関係ないよね?」
勢いで否定してから、深津はため息を吐く。
海は時々、反射で航太郎を貶めることを言う。
これはほかの誰でもない、深津の師である奥の影響だ。
仕事は尊敬するけれど、これだけは良くない先生だ、と
深津は不満が顔に出てしまう。
「じゃあなんでこーたろさんは青汁飲んでるんですか?」
「ええと・・・説明は難しいんだけど」
「簡単に、お願いします」
きっぱりと言われて、深津は少し考え込んだ。
きっと話は簡単なのだ。
しかしそこに感情が混じるから、複雑になるのだ。
深津は思い出しながら、起こった事実だけを短い言葉で
繋げてみることにした。
「えっと、カットフルーツを貰ったんだ。すごく新鮮で、すごく美味しいもの。
美容と健康にいいから、ジュースにして飲んでくださいって。
それでジュースにしてみると、本当においしくて、航さんにも飲んでもらったら、
日本人なら健康に良い飲み物を飲むなら青汁だって言って・・・」
美味しい青汁を探して飲み始めることになった。
海は呆れた顔をしてそれを聞いていたが、
「・・・最後が意味わかんない」
「・・・そうだよねぇ」
深津もそうだろうと思ったので、一緒に頷いた。
話は複雑で、でも、単純なのだ。
カットフルーツは深津の顧客であるモデルであり医師でもある人に、
買いすぎたので、という理由でおすそ分けしてもらったのだが、
ジュースにしたそれを前に航太郎にいきさつを話すと、さっきまで笑顔で
美味しいと言っていたのに途端に眉根を寄せた。
「深津の美容とか、そんなの、どうして先生が気にするんだ」
そんなの知りませんけど、というか、そういう意味じゃないと思いますけど。
深津がどう言おうとも、航太郎の顔が戻ることはなかった。
そして、
「先生は外人だからな。こんなフルーツしか思い浮かばないのかもしれないが、
日本人なら美容と健康のために飲むものはこれって決まってるんだ!」
と、勢いに任せたおかしい論理を言い張り、青汁の購入を決めてしまっていた。
そういうわけで、深津はここのところこの青汁を飲んでいるのだが、
これが飲み始めると本当に続くもので、仕事の休憩中にも持ってきてしまったのだ。
複雑で単純な理由を知った海は、呆れた顔からびっくりした顔になる。
「は?! それで? それで深津センセに青汁飲ませてるんですか?! 
深津センセーの美容を保たせるために?!」
「え。いや、美容と保たせるとか、そういうわけじゃ・・・」
「わーっもう、信じらんない! こーたろさんてばどこまで自分本位なんですか! 
深津センセもセンセーですよっそれで素直に飲んじゃったりして! 
どこまでこーたろさんのこと信じてるんですか!」
「えっ信じてって・・・だって、本当のことだと」
「本当じゃないですよっそれって自分のために綺麗でいろって
男の勝手な言い分ですよっ」
深津の言葉を遮るように、海は手を握りしめて力説した。
しかし、青汁が美容と健康にいい、というのは事実だと思う。
深津がそう言っても、海はなぜだかプリプリと怒っていて、
それはその後一日ずっと直ることはなかった。
唇をとがらせて怒る海に、深津はとりあえず、
もう青汁は勧めないでおこう、とそっと決めた。
 



*****

未来さん、新作ありがとうございます!!

と、まず御礼から。
未来亭の未来さんが、新作の配信(有料)を始められました。
チャリティですので、その売り上げは寄付金にまわされるそうです。
相変わらず・・・すごいなぁ、未来さん。
少しでもその力になれれば、と私も一口――とかってすみません。
そんな高尚な気持ちではなかったです。
純粋に、未来さんの新作が読みたかっただけです!!
だって面白いもん!

というわけで、勢いで書いてみました。私も。
新作の短編を読んだ人なら分かってもらえるはず。
てか、浅見さんちのお手伝いさんって!
思い切り吹き出しましたよ。それわかる人ってどのくらいいるのかしら。
お手伝いのスミちゃんの気持を光彦さんは気づいているのかしら。
てか私、刑事局長のお兄ちゃんが好きで好きで溜まりません!

最近、現実では仕事以外でいやになることがあったばかりで。
久しぶりに楽しい気持ちになったのでした。
未来さん、いつもうれしい気持ちをありがとうございます。

そして、自分のHPを見て。
このところ更新という更新もしてないのに、日々いらしてくださる
皆様に感謝!!
もうちょっと、もうちょっとこのささくれ立った気持が落ち着いたら。
何かを更新したいです。
とりあえず、簡単なところで拍手劇場とかですけど。

【2011/11/07 22:17 】 | ウツムキスマイル | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
Trick or Treat
「トリック オア トリート!!」

10月31日。
帰宅した犬養を迎えたのは、オレンジ色のマントをして
両手を広げ、全開の笑顔のキナだった。
足元にはキナの予想通り大型犬ほどに成長した
クリーム色の犬が先のとがった黒い帽子を付けて
見上げている。
一瞬ドアを開けたまま動きを止めたものの、犬養は
玄関に入るとジャケットの内ポケットを探った。
3センチ角ほどの小さな梱包された箱を、キナの広げられた
手の上に載せてやる。
「・・・え? ええ?」
両手でそれを受取って、待ちかまえていたキナが驚いた
顔をした。
恐らく、犬養が何も持っていない――というよりこの行事を
知らない――と踏んで悪戯を考えていたのだろう。
手に残ったちょっと高そうな包装の箱と、リビングに入っていく
犬養の背中を見比べて、キナも慌てて後を追う。
「あー、あの、犬養さん?」
「なんだ? お菓子が欲しかったんじゃないのか」
「そ・・・そうだけど」
そうじゃない。
とはキナには言えない。
キナの掌にも治まるそれを見ていると、複雑になりながらも
顔が緩んでしまうのが解かる。
悪戯してみたかった、と考えていたことは薄れ、気持がふわふわと
して嬉しくなる。
「キナ」
そんなときに呼ばれ、顔を上げると犬養はジャケットをソファの背に
掛けてネクタイに指を入れていた。
そして振り返りながら、言ったのだ。
「Trick or Treat」
「・・・・・・・えっ」
驚くほど綺麗で流暢な声だった。
その意味をはっきりと理解するまで、日本人のキナは少し考えた
ほどだ。
しかし理解して、さらに驚く。
頭が真っ白だった。
キナを見つめる犬養と、手の上の箱を見比べて、動揺する。
悪戯をすることだけを考えて、自分がお菓子を用意するなどと
いうことはまったく考えていなかったのだ。
「何もないのか」
「あ、あー、えーっとっ」
何もない、という答えは犬養にも予想が付いていた。
「じゃあ悪戯していいんだな」
「あ、あの、ええとーっ」
戸惑ってうろたえるキナの身体を抱きよせ、顔を覗き込んだ。
「ま、まって犬養さんっ悪戯ってなにするの?」
「先に言ったら悪戯にならないだろう」
それはそうだ。
キナも納得しかけたが、なんだか背中に回る手がひどく
甘さを持っていてどんな悪戯なのか怖いようで期待して
しまう。
「ここでしても?」
顔を近づけてくる犬養に、キナはくしゃりと泣きそうな顔になった。
「・・・だめ。ここじゃ、やだ」
「ならベッドだな」
「うー・・・」
犬養はキナを抱えるようにして、足元で大人しくしていた犬に
待っていろ、と飼い主らしく告げた。
この家で一番賢い犬は、その通りにするだろう。
「い、犬養さんのばかっ」
寝室のドアが閉まる前に、キナの怒ったような声が聞こえた。
「そんなに期待されるなら答えないとな」
からかうような犬養の声が聞こえて、ドアが閉まった。
頭に帽子をかぶせられたままの犬は、リビングのラグの上に
丸まりあのドアがもう一度開くまでゆっくりと待つことにした。


******

思いつきです。
ええと、拍手にコメントくださったかた、ありがとうございます!
なのでハロウィンはキナと犬養さんでした。
何故犬養さんがお菓子を持っていたのか?
そんな裏話も今度書いてみたいです。
これからもうちの子たちをよろしくお願いいたします!

近況。
寒いです。
寒いです。
背中に思わずカイロを貼っちゃいましたよ。今日は。
冬になるなぁ。
雪山行きたいなー

【2011/10/26 12:43 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
アイビー会(て名前可愛いから今度からもこれでええが)
2週間ほど会わなかった先輩が、妄想で大爆発していた。
「スキップビート」という漫画について、勝手に続きを妄想
していらっしゃったらしい。
もうそれはそれはBLで、さらにはエロ漫画になっていたという。
そして待ちに待った新しい雑誌を読んで、「違うがん!」
とショックを通り越して憤っていた。
いや。うん。ちょっと落ち着こう?
「スキップビート」は少女まんがですから。
蓮様と京子ちゃんじゃ、BLにはなりませんよ?
それはそれで萌えて美味しく頂いたそうですけど。
でも中身が違うことに怒っておられた。
先日東京では、姉が私の試験待ちのときに買った漫画(BL)が
がっつり好みど真ん中だったらしく、「他に続きはないのか!」と
すぐに検索クリック購入しておられた。
この二人が私の前に居る限り、私は冷静でいられるとしみじみ感じます。

そのアイビー会ですが。
試験のために東京に行ったんじゃけどもまぁ試験は終わったので
おいといて。何が嬉しいってもう勉強しなくていいことが嬉しい。
(てこれ前にも書いたか?)とりあえず結果は2月だ。
2月まではもう勉強したくない。来年のことは来年考えます。
アイビー会では、待ちに待った小夜子さんと透子さんに会えました!!
お二人とも変わらず美しい! 大好きだ。
d447777e.JPG 自分の試験の話もしたけど、何に一番って
 旭陽くんの話がやっぱり回ってた。
 だってどうしても何をしてもどうしようも
 ない子なんじゃもの・・・
 でも楽しかったよ!!
 あ、私が左です。右が旭陽くんです。
 私の髪はここのところ自由に伸び縮みします。
 バックが黒いのは黒壁の前だったからです。
 小夜子さんと早めに別れ、透子さんと旭陽くんと
 また喋り倒したけど、旭陽くんはほんっと頑固。
びっくりするくらい頑固なんですよ。この子。
お陰で、私と透子さんの旭陽くんへの優しさは今生分は使い果たしたと
思われます。来世に期待だ。
また東京に行きたいです。
もっともっと喋りたいです。時間制限なくしたいです。
次がすでに待ち遠しい! 小夜子さん、透子さん、また行きます!

あと、本日タイミング良く買えたものをご紹介。
84fcef74.JPG その名も 黒豆バーガー !!

 そのまんまです。

 先日用があって商工会に行ったとき、

 チラシをみて食べたい! と思った。

 んでもって、食べたら結構美味しかった。
 
d325c75b.JPG だがしかし。

 このお店、水木金の午前10時から午後2時

 までしかやってないんですよ!!

 なんじゃそのやる気のなさ!

 普段だと絶対食べに行けないんですが、

たまたま用事があって今日このお店の近くでお昼を迎えれたので・・・
美味しかったけどね! お肉じゃなく、黒豆を潰してハンバーグにして
照り焼きソースで。上に乗ってるのは黒豆じゃった。
ただ、私の掌より小さかった・・・
コンビニで補食を買い、でもまぁ満足でした。
主婦のおばちゃんたちがやってる店っぽかったです。
でもそれにしても。
商売っ気ねぇーよなー。

さて仕事も一段落したし。
帰ってなんか書こっかな。
なんか読もっかな。
あー帰っても勉強しなくていいってスバラシイ!!!

あ、先日の繕と春則のSSにコメントくださったばななさん。
ありがとうございます!
でもそうか・・・春則、格好良くないですか。キラキラして
ないですか(笑
いい男で登場したつもりじゃったのに(笑
私の中では繕の方がただのオヤジ化してるんですけど(笑
もっと春則をキラキラさせるべく、頑張りますね!
とりあえず次の二人は拍手劇場にお目見えです。
(しかしなんとなく考えてる中身には・・・キラキラした
春則がいない・・・エロい春則しかいない・・・)

 
【2011/10/20 18:43 】 | 日々精進 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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