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私と初めてした約束の通り、王さまはとても自分に 緊張していた私が王さまに、怒って抗うようになったのは なにしろ王さまは、本当に自分に誠実なのだ。 鴨の刷り込みをして雛に自分の後ろを歩かせたい、と 虫眼鏡で焚き火をしてみたい、と言いだせば、 果てにはラクダに乗って砂漠を旅してみたい、と言いだし、 思い出し背中をひんやりとしたものが伝い、思わずこぶしを 「どうかしたのか?」 「いいえっなんでも! それよりその書類はご昼食までに、 思い出した怒りの勢いのまま積まれた書類を指すと、 「ええーこんなに頑張っているのに! 私は王さまなのに、 「王さまだから一番働かなければならないんです」 「やっぱり王さまなんて辞めるべきだな」 確認するようにおっしゃられた王さまに、私はもう一度訊いてみた。 「王さま、どうしてそんなにお辞めになりたいんですか?」 「自由がないからさ」 この国で誰より自由にされているような気がするけれど、 |
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私が初めて王さまにお会いしたのは、 もう覚えていないくらい子供の頃のことだった。 私の母が、王さまの乳母だったのだ。 私には兄がいて、王さまと同い年の兄は王さまの そのときに、王さまと出会った。 王さまは私が行くと、いつも一緒に遊んでくれた。 時々会える王さまはいつも輝いて見え、 兄はずっと王さまの傍にいて、お仕えするものだと 王さまの傍にいるのをやめるなんて、どうしてだろうと それは私が13歳のとき。 王さまが20歳になられたときだった。
まだ子供だったはずなのに、王さまは誰より王さまらしく、 それからずっと王さまは誰より輝いていて、 まだ子供のままだった私に、王さまはとても優しく微笑んでくださった。 「私はお前の信頼を得るために、自分に誠実であろうと思う。 私は感激のあまり、泣いてしまった。 その言葉は、私の宝物であり、一生忘れないものになった。 |
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独身のままの王さまは、広い後宮に結局最後まで 本当なら、来月の生誕祝いの時に相手を決めて 王さまを補佐し、奉りごとを取り仕切る五老院の方々は、 「王さま、次の王さまはどなたなんですか?」 王さまはお生まれになったときから複雑な状況に囲まれた方だった。 王さまがお生まれになったとき、おひとりではなかった。 双子のご兄弟でいらっしゃったのだ。 しかし後々、同年のご兄弟は諍いのもとになると周囲に言われ、 王さまのお父様はご高齢であったせいか、 従姉の方々はいらっしゃるが、どなたも女性ですでに 王さまはご結婚されていないので、嫡子もいないままだった。 確実なお血筋の方がいらっしゃらない以上、王さまの中に 王さまは決めてしまわれれば何を言っても無駄なので、 「やめる時に言うよ」 「それまで秘密なんですか? でもお血筋からいくとどなたも・・・」 「確かな人がいるよ」 王さまは自信満々に笑われる。 「きっと私なんかよりも、立派な王さまになるだろう」 王さまは誇らしげだった。
でも私には、頷くことは出来ず、かと言って何を言うことも つづく |
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